生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 医情報学コースの安田 亮太さん(博士課程(前期課程)1年次生、脳神経行動工学研究室)が、2026年7月30日(木)~8月2日(日)に神戸国際会議場で開催されたNEURO2026(第49回日本神経科学大会・第69回日本神経化学会大会・第36回日本神経回路学会大会合同大会)において、ジュニア研究者ポスター賞を受賞しました。
受賞対象となったポスター発表は、「Early oxytocin treatment leads to a long-term amelioration of social abnormalities caused by maternal separation.」(演題番号:1P-310)です。本研究では、幼若期の母子分離によって生じる社会行動の異常に対して、発達初期のオキシトシン投与が長期的な改善効果をもたらすことを報告し、高い評価を得ました。
発表題目
Early oxytocin treatment leads to a long-term amelioration of social abnormalities caused by maternal separation.
受賞者
安田 亮太(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 医情報学コース 博士課程(前期課程)1年次生)
連名者
西堀 諒(自治医科大学 医学部 学振特別研究員(PD)、同志社大学 音響ナビゲーション研究センター 嘱託研究員)
松本 直樹(生命医科学研究科)
木下 夢(生命医科学研究科)
小林 耕太(生命医科学部 医情報学科 教授)
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生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 医情報学コース/ヒューマンインフォマティクス研究室 森滉一郎さん、廣安知之教授、日和悟教授らの研究成果が、Cell Pressが刊行するデータサイエンス分野の国際学術誌Patternsに掲載されました。また、本成果はエルゼビア・ジャパン株式会社が定期発行するメールマガジン「エルゼビア・ニュースレター」2026年5月号の「Cell Press注目記事」にも取り上げられています。
私たちの脳は、常に同じ状態にあるわけではなく、複数の活動パターンを行き来しながら認知や行動を支えています。このような脳活動の変化を「脳ダイナミクス」と呼びます。近年、脳活動をいくつかの安定した「状態」とその遷移として捉えるエネルギー地形解析(Energy Landscape Analysis: ELA)が注目されています。しかし、ELAではその数理モデル上の制約により、一度に解析できる脳領域の数が限られるため、全脳の多数の領域からどの領域を選ぶかを研究者が手作業で決める必要がありました。この手作業の選択は、研究者の仮説や経験に依存しやすく、解析結果の客観性や再現性を損なう可能性がありました。
今回の研究では、この課題を解決するために、遺伝的アルゴリズムを用いて解析対象となる脳領域の組み合わせを自動的に選択する新しい解析フレームワーク「ELA/GAopt」を開発しました。遺伝的アルゴリズムは、生物の進化から着想を得た最適化手法であり、膨大な候補の中から目的に合う組み合わせを効率よく探索することができます。本研究では、ELAに適した脳領域の組み合わせを、研究者の主観に頼らず、データに基づいて自動的に探索する仕組みを構築しました。
さらに、複数の公開脳画像データセットを用いて提案手法を検証し、選択される脳領域の安定性や、独立したデータセットに対する一般化可能性を確認しました。また、自閉スペクトラム症に関する多施設データにも適用し、感覚運動ネットワークや視覚ネットワークを含む脳状態ダイナミクスの特徴を抽出できる可能性を示しました。
本研究成果は、脳活動を「状態」として理解する解析手法を、より客観的かつ再現性の高いものにする基盤技術です。今後、精神・神経疾患の理解や、脳活動に基づくバイオマーカー研究、個人に応じた脳状態評価への応用が期待されます。

研究内容の詳細は以下の関連情報をご覧ください。
論文タイトル
Automating region selection with genetic algorithms for energy landscape analyses of brain dynamics
著者
Mori K., Hiroyasu T., and Hiwa S.*
*Corresponding author
雑誌
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同志社大学音響ナビゲーション研究センターと慶應義塾大学の研究グループは、外耳から照射する赤外レーザー光を用いて、外科手術や遺伝子改変を必要とせずに聴覚を誘発する新しい非接触型刺激技術を開発しました。本研究では、スナネズミを用いた行動実験を通じ、レーザー照射による感覚が「音」と同等の聴覚情報として動物の行動を確実に制御できることを世界で初めて証明しました。
詳細は下記プレスリリースをご覧ください。
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生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 バイオマテリアル研究室の出口航至さん(博士後期課程 2年次生)が2026年6月13日~14日に東京理科大学葛飾キャンパスで開催された第38回バイオエンジニアリング講演会において優秀ポスター表彰を受賞しました。本研究では、心筋スフェロイドと力センサの接触面における変位拘束条件が拍動力計測に与える影響について報告し、高い評価を得ました。
「iPS細胞由来心筋スフェロイドの拍動計測に及ぼす接触面収縮拘束の影響」
森田有亮(生命医科学部 医工学科 教授)
山本浩司(生命医科学部 医工学科 教授)
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生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 バイオマテリアル研究室の中川脩さん(博士後期課程 2年次生)が2026年5月30日~31日に石川県地場産業振興センターで開催された第75期学術講演会の発表で、日本材料学会優秀講演発表賞を受賞しました。本研究では、ゼラチン被覆BaTiO3粒子を添加したPLLA表面への細胞接着力が増加することで、粒子由来の刺激応答性が向上する可能性を報告し、高い評価を得ました。
「骨形成促進のためのゼラチン被覆BaTiO3粒子によるPLLAスキャフォールドの機能化技術の開発」
山本浩司(生命医科学部 医工学科 教授)
森田有亮(生命医科学部 医工学科 教授)
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生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 医工学コース ティッシュエンジニアリング研究室 博士課程(後期課程 1年次生)の湯淺太智さんが、日本角膜学会の角膜学会基礎研究支援2025に採択されました。.
フックス角膜内皮ジストロフィにおけるTCF4遺伝子の標的遺伝子の同定
【湯淺太智さんのコメント】
このたび、日本角膜学会基礎研究支援2025に採択いただき、大変光栄に思います。本研究では、フックス角膜内皮ジストロフィの病態解明を目指し、疾患の発症に深く関与するTCF4遺伝子の標的遺伝子を網羅的に解析します。
これまでの研究を通じて、TCF4が角膜内皮細胞の機能異常に重要な役割を果たしている可能性を見出してきました。本助成により、TCF4を中心とした転写制御ネットワークの解明をさらに進め、新たな治療標的の発見につなげたいと考えています。
このような貴重な機会をいただいた日本角膜学会ならびに日頃よりご指導いただいている先生方、共同研究者の皆様に深く感謝申し上げます。今後も研究成果を社会に還元できるよう、一層研究に励んでまいります。
日本角膜学会基礎研究支援受賞者HP
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生命医科学研究科ティッシュエンジニアリング研究室修了生の西畑さやかさん(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 修了)、五十嵐あみ先生(日本大学医学部眼科学分野)らの研究成果が、眼科学分野の国際学術誌「Graefe's Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology」に掲載されました。本研究は、同志社大学と日本大学による共同研究として実施されました。
本研究では、緑内障の一種である「原発閉塞隅角症(げんぱつへいそくぐうかくしょう)」に関連して発症した水疱性角膜症の患者さんの角膜組織を詳しく調べました。これまで、この病気によって角膜内皮細胞が障害される仕組みは十分には分かっていませんでした。
研究グループは、角膜移植手術の際に採取したデスメ膜(角膜の内側にある薄い膜)を特殊な顕微鏡で観察しました。その結果、多くの症例で、フックス角膜内皮ジストロフィと呼ばれる角膜疾患にみられる「guttae(グッタ)」に似た構造変化が存在することを発見しました。さらに一部の症例では、通常は角膜中央部に出現するグッタ様変化が、角膜周辺部に限局して存在するという特徴的な分布パターンが認められました。
これらの結果は、原発閉塞隅角症に関連した角膜内皮障害の背景に、これまで考えられていなかった多様な病態が存在する可能性を示しています。本研究成果は、水疱性角膜症の発症メカニズムの理解を深めるとともに、将来的な診断や治療戦略の発展につながることが期待されます。
FECD-like histopathological features of Descemet's membrane in bullous keratopathy associated with primary angle closure
Ami Igarashi*, Sayaka Nishihata*, Kyohei Fujiwara, Toshiki Shimizu, Naruki Higashise, Sora Tanaka, Satoru Yamagami, Noriko Koizumi, Naoki Okumura#, Takahiko Hayashi#
*共同第一著者
#共同責任著者
掲載誌
Graefe's Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology
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生命医科学研究科 医生命システム専攻 分子生命分野 奥田祐太さん(博士後期課程3年次生)、高橋美帆 准教授、西川喜代孝 教授らの研究成果がBiochemical and Biophysical Research Communications誌に掲載されました。
慢性骨髄性白血病(CML)は、異常融合タンパク質であるp210 BCR-ABLによって引き起こされます。これまで、p210 BCR-ABLは細胞質に存在し、ABLチロシンキナーゼを介して、その下流シグナルであるPI3K/AKT、JAK/STAT5、RAS/MAPKの3つの主要経路を常時活性化していると考えられていました。
最近本研究室では、CML細胞では常に一定量のp210 BCR-ABLがミトコンドリア膜上に存在していること、その結果アポトーシス阻害分子であるcIAP1/2が誘導され、CML細胞の生存維持に貢献していること、を見出しました。しかしながら、p210 BCR-ABLのミトコンドリア局在が、上記3種の主要シグナル経路にどう影響するかは未解明でした。
本論文では、p210 BCR-ABLがミトコンドリアに移行すると、RAS/MAPK経路の主要分子であるERKが顕著に不活化されること、一方でPI3K/AKT、JAK/STAT5の2経路には影響を与えないこと、を見出しました。さらに、p210 BCR-ABLのミトコンドリア移行には活性酸素種(ROS)によるミトコンドリア障害が重要であること、ROSを消去する薬剤NACによりこのミトコンドリア移行が阻害されること、その結果ERKの不活化が完全に回復すること(図)を見出しました。このことは、p210 BCR-ABLは環境の変化に応じて細胞内局在を変え、その際下流シグナル経路を特異的に切り替えることによって、どのような環境に対しても最適な増殖を維持できるようにしていること、を示しています。本研究によりCML細胞の巧妙な生存戦略が解明されたことで、今後新たな治療薬開発への展開が期待できます。
Mitochondrial translocation of p210 BCR-ABL rewires downstream signaling by selectively suppressing ERK activation
Yuta Okuda, Miho Watanabe-Takahashi, Kiyotaka Nishikawa*
*Corresponding author
雑誌
Biochemical and Biophysical Research Communications Volume 829, 3 September 2026, 154168
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生命医科学研究科 医生命システム専攻 分子生命分野 池上葵さん(2025年度修了、現兵庫県立大学 大学院理学研究科 細胞構造学分野 助教)、高橋美帆准教授、西川喜代孝教授らの研究成果がThe FASEB Journal誌に掲載されました。
慢性骨髄性白血病(CML)は、キメラタンパクであるBCR-ABLによって引き起こされます。現在、治療薬としてイマチニブに代表されるABLチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が使用されていますが、薬剤耐性が大きな問題となっており、新たな薬剤の開発が求められています。
本研究室では、これまで病理的な機能が不明であったBCR上のPHドメインは、ミトコンドリア内膜特異的リン脂質であるカルジオリピン(CL)と結合する能力を持つこと、CML細胞ではこの結合を介して一定量のBCR-ABLがミトコンドリア外膜に存在すること、を見出しました。しかし、この現象がCML細胞の増殖にどのように関与するのかは不明でした。
本論文では、PHドメインに結合しCLとの結合を阻害する多価型ペプチド、WDD-R4-tetを開発しました。さらに、WDD-R4-tetはBCR-ABLのミトコンドリア局在を阻害すること、このときアポトーシス阻害因子であるcIAPの発現を抑制すること、その結果アポトーシスを誘導し、CML細胞の増殖を抑制することを見出しました(図)。また、WDD-R4-tetはTKIに耐性を示すCML細胞の増殖も抑制しました。これまで、BCR-ABLによる細胞増殖シグナルはチロシンキナーゼを介して細胞質で発生すると考えられてきましたが、本研究によりミトコンドリア上に存在するBCR-ABLはこれとは別の増殖シグナルを作動させていることが示されました。WDD-R4-tetは、チロシンキナーゼには依存せず、BCR-ABLの細胞内局在を制御することで機能する、新たなタイプのCML治療薬として期待できます。
Localization of p210 BCR‐ABL to the Mitochondria Promotes Chronic Myeloid Leukemia Cell Proliferation Through cIAP Signaling
Aoi Ikegami, Miho Watanabe-Takahashi, Kentaro Shimasaki, Yuta Okuda, Masaya Choda, Tsuyoshi Waku, Yoshiro Maru, Atsuko Deguchi, Yuri Nishino, Atsuo Miyazawa, Norihito Shibata, Mikihiko Naito, Kiyotaka Nishikawa*
*Corresponding author
The FASEB Journal, 2026 May 30:40:11.
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生命医科学研究科 ティッシュエンジニアリング研究室の野田峻佑さん(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻修了生)らの研究成果が、国際学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。本研究は、同志社大学とドイツ・Erlangen大学(Friedrich-Alexander University Erlangen-Nürnberg)との国際共同研究として実施されました。
本研究では、角膜移植が必要となる代表的な疾患のひとつであるフックス角膜内皮ジストロフィ(Fuchs Endothelial Corneal Dystrophy: FECD)に対し、既存薬を活用した新たな治療候補の探索を行いました。FECDでは、角膜内皮細胞の障害に加え、異常タンパク質の蓄積や細胞ストレス、細胞外マトリックスの過剰産生など、複数の異常経路が同時に進行することが知られています。
研究グループは、FDA承認済み薬剤1178種類を対象に、コンピュータ上で薬剤とタンパク質の結合を予測する「構造ベース創薬(Structure-based virtual screening)」を実施しました。その結果、「VX-809」という化合物が、FECDの病態に関与する2つの重要なシグナル経路に同時に作用する可能性を見出しました。
さらに、患者由来の角膜内皮細胞を用いた実験では、VX-809が細胞死や異常タンパク質蓄積を抑制し、細胞ストレス応答を改善することが確認されました。これにより、既存薬を多面的に活用する「ポリファーマコロジー」という新しい創薬戦略が、眼科疾患においても有効である可能性が示されました。
本研究成果は、AI・計算科学と再生医療・眼科基礎研究を融合した新しい創薬アプローチとして期待されており、将来的なFECD治療薬開発への応用が期待されます。
論文情報
タイトル
Structure-based virtual screening identifies VX-809 as a candidate dual-pathway modulator in Fuchs endothelial corneal dystrophy
著者
Shunsuke Noda, Kota Imai, Taisei Okino, Taisuke Numao, Theofilos Tourtas, Ursula Schlötzer-Schrehardt, Friedrich Kruse, Noriko Koizumi, Naoki Okumura
掲載誌
Scientific Reports
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生命医科学研究科 ティッシュエンジニアリング研究室の東瀬匠毅さん(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 M2)、清水俊輝先生(日本大学)らの研究成果が、眼科学分野の国際学術誌「Translational Vision Science & Technology」に掲載されました。本研究は、同志社大学と日本大学による共同研究として実施されました。
本研究では、水疱性角膜症(Bullous Keratopathy: BK)患者の角膜内側に存在する「デスメ膜(Descemet膜)」に、これまで報告されていなかった新たな構造変化を発見しました。研究グループは、この特徴的な構造を「dome-shaped protrusions(DSPs)」と命名し、その病理学的特徴を詳細に解析しました。
研究では、角膜移植時に採取した患者検体を用いて顕微鏡解析を行うとともに、角膜内皮細胞を観察する「スペキュラーマイクロスコピー」と呼ばれる臨床検査画像との関連を検討しました。その結果、DSPsを有する症例では、「intracellular dark endothelial spots(IDESs)」と呼ばれる特徴的な黒い陰影が高頻度に認められることが明らかとなりました。
DSPsは水疱性角膜症における新しい病態分類につながる可能性が示されました。本研究成果は、角膜内皮障害の多様性を理解するうえで重要な知見であり、将来的には診断精度向上や病態理解の深化への貢献が期待されます。
論文情報
タイトル
Dome-Shaped Protrusions on Descemet's Membrane in Bullous Keratopathy: Identification and Histopathological Examination
著者
Toshiki Shimizu*, Naruki Higashise*, Ami Igarashi, Kyohei Fujiwara, Sayaka Nishihata, Sora Tanaka, Satoru Yamagami, Noriko Koizumi, Naoki Okumura#, Takahiko Hayashi#
*共同第一著者
#共同責任著者
掲載誌
Translational Vision Science & Technology
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生命医科学研究科 ティッシュエンジニアリング研究室の今福千晶紀さん(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻修了生)らの研究成果が、角膜分野の国際学術誌「Cornea」に掲載されました。
本研究では、日本に輸送される海外ドナー角膜において、角膜内皮細胞障害に影響を与える要因を解析しました。日本では角膜移植用ドナー角膜の多くを海外から輸入しており、長距離輸送後にどの程度角膜内皮細胞が損傷を受けるかは、移植成績に直結する重要な課題となっています。
研究グループは、アメリカの3つのアイバンクから日本へ輸送された194枚のドナー角膜を対象に解析を行いました。その結果、アイバンクの違い、ドナー年齢、人種、死因などが角膜内皮障害に関連する独立因子であることが明らかとなりました。一方で、摘出から保存までの時間や輸送期間は障害に有意な影響を与えず、現在の輸送・保存プロトコルの妥当性も示されました。
本研究成果は、国際的な角膜移植医療を支えるアイバンクシステムの品質向上に貢献するものであり、将来的なドナー角膜評価基準の最適化や移植成績向上につながることが期待されます。
論文情報
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生命医科学研究科 ティッシュエンジニアリング研究室の松岡侑幹さん(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻修了生)、佐藤貴輝さん(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻修了生)、池口晃太さん(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 M2)らの研究成果が、「Asia-Pacific Journal of Ophthalmology」に掲載されました。本研究は、インドの大規模眼科病院との国際共同研究として実施されました。
本研究では、失明の原因となる感染性角膜炎に対し、原因となる病原体(細菌・真菌・アカントアメーバ・ウイルス)を前眼部画像から判別する人工知能(AI)モデルを開発しました。感染性角膜炎は、適切な治療選択のために原因の特定が重要である一方、診断が難しい疾患として知られています。
研究グループは、インドの臨床データを含む合計708枚の画像を用いてAIモデルを構築し、その性能を検証しました。その結果、本AIは専門医と比較して同等以上の診断性能を示し、特に真菌およびウイルス感染において優れた識別能力を有することが明らかとなりました。
さらに本研究では、このAIをスマートフォン上で動作するアプリケーションとして実装し、実臨床での利用可能性を検証しました。スマートフォンで撮影した画像に対しても同様の診断傾向が確認され、医療資源が限られた地域における診断支援ツールとしての有用性が示されました。
本成果は、専門医へのアクセスが限られる地域においても適切な診断と治療につながる可能性を示すものであり、今後の医療アクセスの向上や遠隔医療の発展に貢献することが期待されます。
Generation of Artificial Intelligence Models for Predicting the Etiological Agents of Infectious Keratitis
Yuki Matsuoka*, Takaki Sato*, Kota Ikeguchi*, Noriko Koizumi, Appakkudal R. Anand, Sangavi Saravana, Rachapalle Reddi Sudhir, Meena Lakshmipathy, Naoki Okumura
*共同第一著者
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生命医科学研究科 ティッシュエンジニアリング研究室の東瀬匠毅さん(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 M2)、清水俊輝先生(日本大学)らの研究成果が、眼科学分野の国際学術誌「Investigative Ophthalmology & Visual Science(IOVS)」に掲載されました。本研究は、同志社大学、日本大学、大阪大学による共同研究として実施されました。
本研究では、水疱性角膜症(Bullous Keratopathy: BK)という角膜疾患において、角膜の最も内側に存在する「デスメ膜(Descemet膜)」に生じる新しい構造変化を発見しました。研究グループは、この構造を「dome-shaped protrusions(DSPs)」と名付け、フックス角膜内皮ジストロフィ(FECD)で見られる「guttae」と呼ばれる既知の異常構造との違いを詳細に解析しました。
解析には、角膜移植時に採取された患者検体を用い、電子顕微鏡観察や免疫染色、さらに画像解析を実施しました。その結果、DSPsはFECDのguttaeとは異なり、より小型で滑らかな構造を持ち、特有の線維状表面を示すことが明らかとなりました。また、FECDで特徴的に認められる異常タンパク質の蓄積もDSPsでは認められず、両者が異なる病態で形成される可能性が示されました。
本研究成果は、水疱性角膜症における角膜内皮細胞障害の新たなメカニズム解明につながる可能性があり、今後の病態理解や治療法開発への応用が期待されます。
論文情報
タイトル
Morphological Distinction of Descemet's Membrane Protrusions in Bullous Keratopathy and Guttae in Fuchs Endothelial Corneal Dystrophy
著者
Naruki Higashise*, Toshiki Shimizu*, Sayaka Nishihata, Sora Tanaka, Emiri Tatsumi, Yoshinori Oie, Satoru Yamagami, Noriko Koizumi, Takahiko Hayashi, Naoki Okumura
*共同第一著者
掲載誌
Investigative Ophthalmology & Visual Science
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生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 医工学コース ティッシュエンジニアリング研究室の湯淺太智さん(博士課程(後期課程)1年次生)、沖野泰征さん(博士課程(前期課程) 1年次生)が、2026年5月3日~7日にアメリカ・デンバーで開催された世界最大規模の視覚・眼科学会であるARVO(The Association for Research in Vision and Ophthalmology)年次総会において、Travel Grantを受賞しました。
ARVO Travel Grantは、世界中から応募される演題の中から、特に革新性と臨床的意義が高い研究に対して授与され、学会参加のための旅費支援が行われます。眼科学・視覚科学分野における次世代研究者の育成を目的とした名誉ある賞として知られています。
【湯淺太智さんのコメント】
このたび、ARVO 2026 Annual Meeting におけるTravel Grantを受賞することができ、大変光栄に存じます。
本研究を支えてくださっている指導教員の先生方、共同研究者の皆様、ならびに日頃より研究活動を支援してくださる皆様に心より感謝申し上げます。
本研究では、円錐角膜におけるスプライシング異常に着目し、RNA-Seq解析を用いて病態形成に関与する分子機構の解明を目指しております。円錐角膜は未だ不明な点の多い疾患であり、本研究を通じて新たな病態理解や診断・治療戦略につながる知見を得ることを期待しています。
今回の受賞を励みに、今後も国際的な視点を持って研究に取り組み、眼科医学および基礎研究の発展に貢献できるよう一層努力してまいります。
【沖野泰征さんのコメント】
このたび、ARVO 2026 Annual Meeting におけるTravel Grantを受賞することができ、大変光栄に存じます。
本研究では、フックス角膜内皮ジストロフィ(FECD)に対する新たな治療戦略の確立を目指し、TGF-βおよびp38 MAPK経路に着目して、単剤で両経路を同時に制御可能な薬剤の探索および有効性の検討に取り組んでおります。FECDは未だ有効な治療法が限られている疾患であり、本研究を通じて新たな病態理解や治療法の開発につながる知見を得ることを期待しております。
今回の受賞を励みとし、今後も研究活動に真摯に取り組みながら、眼科医学および基礎研究の発展に貢献できるよう努めてまいります。
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