生命医科学研究科 ティッシュエンジニアリング研究室の稲垣蒼一朗さん(2025年3月修了)らの研究成果が、「Experimental Eye Research」に掲載されました。
本研究は、ドイツのエアランゲン・ニュルンベルク大学との共同研究による成果です。
フックス角膜内皮ジストロフィ(FECD)は角膜内皮細胞の変性と細胞外マトリックスの異常蓄積を特徴とする眼疾患で、角膜移植の最も多い原因です。今回の研究では、FECD患者の角膜内皮細胞におけるスプライシング(遺伝子情報の編集過程)の異常、特にイントロン保持と呼ばれる現象に着目しました。解析の結果、フィブロネクチンという、FECDに特徴的な角膜の裏側の構造物の主要成分の遺伝子で、イントロン保持の低下が見られました。興味深いことに、このイントロン保持の減少と、FECD患者の角膜内皮におけるフィブロネクチンの過剰発現には関連があることが判明しました。この発見は、スプライシングの異常がFECDの病態形成にどのように関わるかを示す重要な知見であり、将来的な治療法開発につながる可能性があります。
【稲垣蒼一朗さんのコメント】
本研究ではFECDの発症原因を探求するため、イントロン領域にのみ焦点を当てて行った初めての研究であり、発症原因の特定と将来の新規治療法開発に向けた重要な一歩です。
本研究で明らかとなった事実は、今後の病態解明の手掛かりになると考えています。
この場をお借りして、ご指導・ご支援を賜りました先生方、共同研究者の皆様に深く御礼申し上げます。
TCF4 expansion–associated loss of FN1 intron retention drives extracellular matrix accumulation in Fuchs endothelial corneal dystrophy
Soichiro Inagaki, Taichi Yuasa, Theofilos Tourtas, Ursula Schlötzer-Schrehardt, Friedrich Kruse, Noriko Koizumi, Naoki Okumura
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生命医科学部・生命医科学研究科事務室 TEL:0774-65-6020
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生命医科学研究科 ティッシュエンジニアリング研究室の藤本創也さん(2025年3月修了)、遠藤眞子さん(2018年3月修了)らの研究成果がCellsに掲載されました。
角膜疾患治療の新たな展開
フックス角膜内皮ジストロフィ(FECD)は、角膜内皮細胞の減少や細胞外マトリックスの異常蓄積により角膜の透明性が失われて視力が障害される進行性疾患です。現在の主な治療法は角膜移植ですが、ドナー不足や手術の侵襲性などの課題があります。
主な研究成果
研究チームは、カスパーゼ阻害剤であるEmricasanがFECDの治療に効果的かどうかを調査しました。その結果:
将来の展望
この研究はFECDの分子メカニズムに関する新たな知見を提供し、将来的には角膜移植に代わる薬物治療法の開発につながる基盤を確立しました。
【藤本創也さんのコメント】
本研究には多くの方々が携わっており、先輩方が積み重ねてこられた数々の成果に支えられています。心より感謝申し上げます。研究室配属後に初めて取り組んだ研究が、このように論文という形になったことを、大変嬉しく、また感慨深く感じております。
在学中は、本研究について国内外の学会で発表する機会をいただき、世界中の研究者の方々と直接議論を交わすという貴重な経験をさせていただきました。科学を通じて国際的な交流が生まれる場に身を置けたことは、これからの社会人生活においても大きな財産になると感じています。
現在は機械系メーカーに勤務し、グローバルに展開する製品の設計開発に携わっております。学生時代に得た経験を糧に、今後も世界に通用するものづくりに携わっていきたいと考えています。本研究の成果がFECDの新たな治療法の実現に繋がり、患者さんの助けとなることを心より願っております。
この度、私たちの研究が学術誌に掲載される運びとなり、大変嬉しく思います。本研究では、Caspase阻害剤に関する新たな知見を提供することを目的とし、研究を進めてまいりました。
在学中は実験や解析を重ねる中で、幾度となく困難に直面しました。しかし、そのたびに共同研究者や指導教員の皆様、関係者の方々の支えがあり、乗り越えることができました。皆様のご協力と励ましがなければ、この成果を達成することはできなかったと深く実感しており、大変感謝いたしております。
本研究が今後のさらなる研究の礎となり、学術的・社会的に貢献できることを心より願っております。
そして最後に、本論文の掲載にご尽力いただいた指導教員、共同研究者の皆様、私の卒業後も研究を継続してくださった後輩の皆様、そして論文掲載に関わった全ての方々に、心より感謝申し上げます。
本研究の詳細な内容は、以下をご覧ください。
Therapeutic Potential of Emricasan, a Pan-Caspase Inhibitor, in Reducing Cell Death and Extracellular Matrix Accumulation in Fuchs Endothelial Corneal Dystrophy
Sohya Fujimoto*, Mako Endo*, Shigehito Tonomura, Fuuga Tsuji, Hirotaka Haraguchi, Kanna Hasegawa, Taisuke Numao, Ayaka Izumi, Theofilos Tourtas, Ursula Schlötzer-Schrehardt, Friedrich Kruse, Yuki Oyama, Masahito Ikawa, Albert S. Jun, Noriko Koizumi and Naoki Okumura *共同第一著者
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生命医科学研究科 ティッシュエンジニアリング研究室の大山裕貴さん(2021年3月修了)、伊東優さん(2025年3月修了)らの研究成果が、Investigative Ophthalmology & Visual Scienceに掲載されました。
本研究では、フックス角膜内皮ジストロフィ(FECD)のマウスモデルを用いて、TCF4遺伝子の部分的な抑制がFECDの進行を改善できることを明らかにしました。FECDは、角膜内皮細胞の減少や異常な細胞外物質の蓄積により、視力低下を引き起こす進行性の眼疾患です。
研究グループは、遺伝子編集技術(CRISPR/Cas9)を用いてTCF4遺伝子の働きを部分的に抑制したマウスを作製し、FECD疾患モデルマウスと交配しました。その結果、TCF4遺伝子の部分的な抑制によって、FECDの特徴である「グッタ」と呼ばれる角膜内の異常構造物の形成が減少し、角膜内皮細胞の密度が保たれることが明らかになりました。
この研究は、同志社大学に加え、大阪大学、米国のバージニア大学との共同研究として実施されました。
本研究成果は、TCF4遺伝子がFECDの治療標的として有望であることを生体内で初めて証明したものであり、将来的なFECD治療法開発への重要な一歩となります。
【伊東優さんのコメント】
この度、修士課程での研究成果を論文として掲載できることを心から嬉しく思います。貴重な知見を共有しながら共に研究を進めてくださった皆様に心より感謝申し上げます。小泉教授、奥村教授のご指導のもと、国内外の学会での発表機会をいただき、自分の研究成果を発信する喜びや、様々な領域の専門家との活発なディスカッションを通じて多くの学びを得ることができました。研究活動を通じて培った問題解決能力や多角的な視点は、今後の社会人生活においても大きな財産になると確信しています。この経験を糧に、世界に微力ながらも貢献できる人材となれるよう、これからも日々精進してまいります。最後に、本研究に関わってくださったすべての方々に改めて心より感謝申し上げます。
本研究は、私が研究室に配属されてから初めて取り組んだプロジェクトの一つで、非常に思い入れのある研究です。遺伝子と病態との関連性を明らかにする過程で、研究と実験の面白さに魅了され、研究者を目指すきっかけとなりました。また、このような基礎研究が将来、眼疾患の治療法に繋がるという希望が、私の研究へのモチベーションとなりました。研究を遂行するにあたり、多大なご指導とご鞭撻を賜りました小泉範子教授、奥村直毅教授をはじめ、ティッシュエンジニアリング研究室の皆様、そして本研究にご協力いただいた多くの共同研究者の皆様に心より感謝申し上げます。私は現在、大阪大学大学院で博士号を取得後、ドイツのヘルムホルツセンターミュンヘンにて博士研究員として研究者のキャリアを積んでいます。今後もティッシュエンジニアリング研究室で得た貴重な経験を活かし、新しい技術と知識を積極的に取り入れ、魅力的な研究を進めてまいります。
本研究の詳細な内容は、以下をご覧ください。
Heterozygous Tcf4 Deficiency Mitigates Fuchs Endothelial Corneal Dystrophy Progression in a Mouse Model
Suguru Ito*, Yuki Oyama*, Taichi Yuasa, Koki Amano, Kotaro Onishi, Ayaka Izumi, Albert S. Jun, Masahito Ikawa, Noriko Koizumi, and Naoki Okumura
*共同第一著者
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生命医科学研究科 ティッシュエンジニアリング研究室の中川達也さん(2023年3月修了)らの研究成果が、Experimental Eye Researchに掲載されました。
本研究は、ドイツのエアランゲン・ニュルンベルク大学およびフランスのジャン・モネ大学との共同研究による成果です。
フックス角膜内皮ジストロフィ(FECD)は、角膜の裏側に細胞外マトリックスが沈着することで光が散乱して、視力低下を引き起こす病気です。さらに進行すると角膜内皮細胞が障害されて、角膜が白く濁ることで重度の視力障害を引き起こします。FECDは欧米諸国において最も一般的な角膜移植の原因疾患であり、その発症メカニズムの解明と治療法の開発が求められています。
本研究では、FECD患者から取得した角膜内皮細胞のRNAシーケンス解析を通じて、TGF-β(トランスフォーミング増殖因子ベータ)シグナル伝達経路に関与する遺伝子の発現変化を包括的に解析しました。その結果、TGF-βスーパーファミリーの一部であるGDF5やTGF-β2がFECD患者で発現上昇していることが明らかにしました。また、TGF-βシグナル伝達経路の活性化が、角膜内皮において細胞外マトリックス関連遺伝子の過剰産生を誘導することを、ドナー角膜を用いた実験により確認しました。
これらの成果は、TGF-βシグナル伝達経路の異常がFECDの発症に関与している可能性を示しており、新たな治療標的の発見につながる重要な知見となることが期待されます。
本研究では、FECDの病態形成におけるTGF-βシグナル伝達経路の関与について、網羅的な遺伝子発現解析および実験的検証を通じて明らかにすることを目指しました。角膜内皮の線維化を誘導する因子の特定は、将来的な分子標的治療の開発に向けた重要な一歩です。本研究で新たに示された遺伝子群の関与は、病気をより深く理解するための手がかりになると考えています。この場をお借りして、ご指導・ご支援を賜りました先生方、共同研究者の皆様に深く御礼申し上げます。
本研究の詳細な内容は、以下をご覧ください。
Involvement of TGF-β signaling pathway-associated genes in the corneal endothelium of patients with Fuchs endothelial corneal dystrophy
Tatsuya Nakagawa, Tetsuro Honda, Soichiro Inagaki, Taichi Yuasa, Theofilos Tourtas, Ursula Schlötzer-Schrehardt, Friedrich Kruse, Ines Aouimeur, Hanielle Vaitinadapoule, Gauthier Travers, Zhiguo He, Philippe Gain, Noriko Koizumi, Gilles Thuret, Naoki Okumura
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2024年11月24日~25日に石川県能美市ウェルネスハウス SARAIで開催された日本音響学会聴覚研究会において、神田陽さん(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 脳神経行動工学研究室)が研究奨励賞を受賞しました。同賞は、優秀な研究を奨励する目的で若手研究者に与えられます。
神田陽さんは、ヒトは複数の感覚器官から得られるさまざまな情報を脳内で統合して外界を認知していることを、聴覚と触覚間の感覚統合を対象に明らかにしました。
聴触覚統合がもたらす風の知覚:時空間的性質の検証
神田 陽(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 博士課程(前期課程) 1年次生)
川野 雅名(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 博士課程(前期課程) 2023年度修了)
小林 耕太(生命医科学部 医情報学科 教授)
伊藤 優樹(研究開発推進機構 助教)
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生命医科学部・生命医科学研究科事務室 TEL:0774-65-6020
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生命医科学研究科へご入学される方はこちらをご確認ください。
日時 | 2025年4月1日(火)12時30分~ |
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場所 | デイヴィス記念館(京田辺校地) ※正門から徒歩約10分 |
詳細 | 1.2025年度春学期入学式 2.入学式、卒業式・学位授与式(インターネット動画中継) |
■特別な配慮を要する方へ
場内誘導、座席の確保等について、特別な配慮をご希望の方は、原則として3月18日(火)までにご希望の内容を以下事務室までお知らせください。
ご要望内容を検討させていただき、できる限りの対応を取らせていただきます。なお、事情により、期日までのお申し出が難しい場合でも、ご相談の上、対応を検討させていただきます。
特別な配慮に関するお問い合わせ先:スチューデントダイバーシティ・アクセシビリティ支援室
TEL:0774-65-7411 E-mail:jt-care@mail.doshisha.ac.jp
新入生向けオリエンテーション等について
開催日時、会場等に変更が生じる場合がございますので、当ページで最新情報をご確認ください。
日付 | 時間 | 行事 | 学科名 | 会場 |
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4月1日(火) | 14:00~15:30 (予定) |
オリエンテーション | 医工学科 | 恵道館203番教室 (KD203) |
医情報学科 | 恵道館204番教室 (KD204) |
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医生命システム学科 | 恵道館202番教室 (KD202) |
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4月2日(水) | 10:00~11:30 (予定) |
学科紹介・学習指導 | ||
医工学科 | 同上 | |||
医情報学科 | 同上 | |||
医生命システム学科 | 同上 | |||
11:30~ | アドバイザリークラス | |||
医工学科 | 学科紹介・学習指導にてお伝えいたします。 | |||
医情報学科 | 学科紹介・学習指導にてお伝えいたします。 | |||
医生命システム学科 | 実施無し |
生命医科学部 個別履修相談
自由参加(予約不要)です。科目登録に関して個別の質問がある場合は、所属学科の会場へお越しください。
なお、学科ごとに時間帯が異なりますので、ご留意ください。
開催日時、会場等に変更が生じる場合がございますので、当ページで最新情報をご確認ください。
日付 | 時間 | 行事 | 学科名 | 会場 |
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4月3日(木) | 10:30~12:00 |
個別履修相談 | 医工学科 | 知真館1号館301番教室 (TC1-301) |
10:00~12:00 |
個別履修相談 | 医情報学科 | 知真館1号館302番教室 (TC1-302) |
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13:00~16:00 |
個別履修相談 | 医生命システム学科 | 知真館1号館303番教室 (TC1-303) |
大学ホームページをご確認ください。
式典当日の送迎に関しては、以下の内容についてご留意ください。
生命医科学研究科 ティッシュエンジニアリング研究室の中川達也さん(2023年3月修了)らの研究成果が、Investigative Ophthalmology & Visual Scienceに掲載されました。
本研究は、国内外の複数の研究機関と協力して実施されました。研究グループは、同志社大学に加え、日本の京都府立医科大学、ドイツのエアランゲン・ニュルンベルク大学、インドのSankara Nethralaya病院、そしてイギリスのカーディフ大学の共同研究者で構成されていました。
フックス角膜内皮ジストロフィ(FECD)は、角膜内皮細胞の細胞死や細胞外マトリックスの異常蓄積を特徴とする進行性の疾患であり、転写因子であるTCF4遺伝子イントロン内の異常な繰返し伸長が主な遺伝的リスク因子とされています。本研究では、TCF4遺伝子の役割を詳しく調べるため、FECD患者由来の細胞を用いてCRISPR/Cas9によりTCF4をノックアウトし、プロテオーム解析を行いました。
研究の結果、TCF4ノックアウトにより、細胞外マトリックス関連経路や酸化ストレス応答のタンパク質発現が変化することが明らかになりました。さらに変性タンパク質の蓄積や細胞死が抑制されることが明らかになりました。これまでにFECDの遺伝子レベルでの網羅的解析は我々を含む研究グループから複数の報告がありますが、タンパク質レベルでの網羅的解析は初めてです。本成果は、FECDの病態解明や治療標的の特定に有用な知見となります。
【中川達也さんのコメント】
本研究は、国内外の多くの共同研究者の協力のもとで進められたプロジェクトです。皆様に心より感謝申し上げます。私は研究室に配属されてから、このテーマを先生から与えていただいた時のことを今でも鮮明に覚えています。当時、海外の研究者の方々と英語でコミュニケーションを重ねながら進めた経験は非常に貴重なものでした。この経験を通じて、科学的な議論の大切さや研究を進める上での国際的な協力の意義を実感しました。
現在の仕事ではゲノム解析に関連する分野で働いており、大学院での研究経験がその基礎となっています。特に、オミクス解析の知識やデータを科学的に解釈する力は、現職において大いに役立っています。今後も、ゲノムを通じて、医療や生命科学の発展に貢献できるよう努めたいと考えています。
本研究の詳細な内容は、以下をご覧ください。
The TCF4 gene regulates apoptosis of corneal endothelial cells in Fuchs endothelial corneal dystrophy
Tatsuya Nakagawa, Tetsuro Honda, Taichi Yuasa, Go Nishiuchi, Masakazu Sato, Ayumi Tokunaga, Makiko Nakahara, Theofilos Tourtas, Ursula Schlötzer-Schrehardt, Friedrich Kruse, Prema Padmanabhan, Amit Chatterjee, Gajanan Sathe, Vivek Ghose, Narayanan Janakiraman, Derek J. Blake, Noriko Koizumi, Sailaja Elchuri, Naoki Okumura
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生命医科学部・生命医科学研究科事務室 TEL:0774-65-6020
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生命医科学研究科 ティッシュエンジニアリング研究室(指導教員:小泉範子教授、奥村直毅教授)の中川達也さん(2023年3月修了)らの研究成果が、Corneaに掲載されました。
本論文は、德田雄市助教、中野正和准教授、田代啓教授(京都府立医科大学・ゲノム医科学)およびTheofilos Tourtas教授、Ursula Schlötzer-Schrehardt教授、Friedrich Kruse教授(University of Erlangen-Nürnberg)らとの共同研究による成果です。
フックス角膜内皮ジストロフィー(FECD)は、角膜内皮細胞が徐々に機能を失い、角膜が濁って視力が低下する進行性の疾患です。FECD患者全体の約8割においてTCF4遺伝子のCTGトリヌクレオチドリピートの異常を認めることから、TCF4の異常が遺伝的リスク要因とされています。しかし、TCF4に異常がない患者でもFECDを発症するケースがあり、その原因には不明点が多いです。
本研究では、RNAシーケンス技術を用いて、TCF4遺伝子に異常がある患者、異常がない患者、そして健常者の角膜内皮細胞の遺伝子発現を比較しました。その結果、FECD患者と健常者の間には、多くの遺伝子発現に有意な違いがあった一方で、FECD患者同士ではTCF4の異常の有無に関わらず、遺伝子発現の特徴には高い類似性がありました。またFECDにおいては、酸化ストレス応答や細胞外マトリックスの生産を調整する経路に共通の異常があることが確認されました。結果として、FECD患者にはTCF4の異常の有無に依存しない共通した遺伝子発現の特徴があることが示されました。
【中川達也さんのコメント】
本研究は、多くの共同研究者の皆様のご協力によって実現しました。貴重な知見を共有しながら共に研究を進めてくださった皆様に心より感謝申し上げます。私が在籍していた研究室は、医工学という工学的な知識を学ぶ学科でありながら、指導教員が眼科専門医であるという特徴的な環境でした。そのため、どのような研究が臨床現場では求められているのかなど、お医者さんの視点を意識しながら研究を進めることができました。また、共に研究を進めた優秀な後輩にも恵まれました。これから研究室への所属を考えている学部生の皆さんにとっても、医学と工学の融合を実践的に学べるこの研究室は、大きな成長の機会を与えてくれると考えています。
本研究の詳細な内容は、以下をご覧ください。
Transcriptional Profiling of Patients With Fuchs Endothelial Corneal Dystrophy With and Without Trinucleotide Repeat Expansion in TCF4
Tatsuya Nakagawa, Yuichi Tokuda, Masakazu Nakano, Ayana Tateishi, Mari Yasunaga, Theofilos Tourtas, Ursula Schlötzer-Schrehardt, Friedrich Kruse, Kei Tashiro, Noriko Koizumi, Naoki Okumura
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39998965/
Cornea. 2025 Feb 25. doi: 10.1097/ICO.0000000000003841. Epub ahead of print. PMID: 39998965.
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生命医科学部・生命医科学研究科事務室 TEL:0774-65-6020
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生命医科学部医生命システム学科の浦野泰臣教授と野口範子教授らの研究グループは、コレステロールが酵素的に酸化されて生じるオキシステロールの一つである25-ヒドロキシコレステロール(25-OHC)が、「フェロトーシス」という特定の細胞死を誘導することを明らかにしました。
詳細は下記をご覧ください。
同志社大学プレスリリースhttps://www.doshisha.ac.jp/news/detail/001-LFTBek.html
同志社大学グローバルサイトhttps://research.doshisha.ac.jp/news/news-detail-69/
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研究科生はこちらからご確認ください。
但し、3月11日(火)を過ぎても通知が到着しない場合は、生命医科学部(教務センター)窓口までお問い合わせください。
なお、卒業者においては、成績通知書の学籍異動欄に「卒業」学籍が表示されているかについても併せてご確認ください。
日時 | 2025年3月22日(土)10時00分~(30分前に集合) |
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場所 | デイヴィス記念館(京田辺校地) |
■特別な配慮を要する方へ
場内誘導、座席の確保等について、特別な配慮をご希望の方は、原則として3月11日(火)までにご希望の内容を以下事務室までお知らせください。
ご要望内容を検討させていただき、できる限りの対応を取らせていただきます。なお、事情により、期日までのお申し出が難しい場合でも、ご相談の上、対応を検討させていただきます。
特別な配慮に関するお問い合わせ先: スチューデントダイバーシティ・アクセシビリティ支援室
TEL:0774-65-7411 E-mail:jt-care@mail.doshisha.ac.jpail.doshisha.ac.jp
※参集場所に変更が生じる場合がございますので、式当日に当ページで最新情報をご確認ください。
全研究室共通 | TC2-105 |
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生体情報 | 太田・大江・中村 | TC1-208 |
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超音波エレクトロニクス・生体計測 | 秋山・髙柳 | TC1-207 |
脳神経行動工学 | 飛龍・小林 | TC1-206 |
ヒューマンインフォマティクス | 廣安・日和 | TC1-205 |
数理統計科学 | 谷岡 | TC1-204 |
生命物理科学 | 貞包 | TC1-203 |
全研究室共通 | TC2-102 |
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各種証明書・学割証について
卒業式当日に和文の卒業証明書および成績証明書を各1通ずつ無料で交付します。なお、卒業式当日、証明書自動発行機を利用して証明書を申請することはできません。
証明書の追加発行が必要な方は、3月22日(土)以降に大学HPの”卒業生”ページから証明書オンライン申込システムにアクセスし、発行申請を行ってください。
学割証の最終発行日は3月21日(金)です。卒業式翌日以降は一切発行することができませんので、ご注意ください。
やむを得ない事由により卒業式に出席できない場合は、卒業判定結果通知以降、下記【欠席連絡フォーム】より申し出てください。
卒業式の翌日以降(土日祝除く)、父母住所宛に学位記・卒業証明書・成績証明書・記念品等を郵送いたします。
渡辺公貴教授(生命医科学部 医工学科 教授)、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構、株式会社タカラトミー、ソニーグループ株式会社が共同で行った月面ロボットSORA-Qの開発プロジェクトが、内閣府が主催する第7回日本オープンイノベーション大賞のうち、内閣総理大臣賞を受賞しました。
詳細は下記プレスリリースをご覧ください。
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生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 ティッシュエンジニアリング研究室の中川達也さん(2022年度修了)、立石あやなさんらの研究成果が、「Cornea」に掲載されました。
本論文は、德田雄市助教、中野正和准教授、田代啓教授(京都府立医科大学・ゲノム医科学)およびTheofilos Tourtas教授、Ursula Schlötzer-Schrehardt教授、Friedrich Kruse教授(University of Erlangen-Nürnberg)らと共同で実施した研究の成果です。
フックス角膜内皮ジストロフィは、世界の角膜移植の原因の約4割を占める難治性の眼疾患であり、進行すると深刻な痛みや視力障害を引き起こします。また、本疾患は女性に多いことが知られていますが、その理由には不明点が多いです。
本研究では、ドナーから取得した遺伝子データを解析することで、これまで知られていなかった角膜内皮における男女間での異なる遺伝子発現パターンの存在を明らかにしました。特に、免疫やホルモンに関する遺伝子発現の違いが男女間でありました。本研究で得られた成果は、フックス角膜内皮ジストロフィにおける有病率の性差の原因や病態の解明を進める上で有用な知見です。
【中川達也さん(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 2022年度修了)のコメント】
大学院にて立石さんと進めた研究が論文化できたことを嬉しく思います。また、小泉教授や奥村教授をはじめ、本研究にご協力いただいた共同研究者の皆様に心より感謝申し上げます。2000年代半ばに米国で登場した次世代シーケンサーは、処理能力の向上と低コスト化により、当時大学生だった未経験の私を含め、誰でも利用できる便利なツールへと進化しました。今後もこの技術は、個々の患者さんにおける病気の原因や発症機序の解明に役立つと考えています。研究を通じて大変貴重な経験を得ることができました。
【立石あやなさん(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 博士課程(前期課程) 2年次生)のコメント】
この度、大学での研究成果を論文として掲載できることを大変嬉しく思います。本研究を進めるにあたり、小泉教授や奥村教授をはじめ、共同研究者の皆様には多大なるご指導を賜り、心より感謝申し上げます。この研究が将来的に病態メカニズムの解明に寄与できれば幸いです。研究室では、試行錯誤を重ねる中で問題解決能力や論理的思考力を培う貴重な経験となりました。来年度から勤める製薬企業においてもこの経験を活かし、社会に貢献できるよう精進してまいります。
Sex-Dependent Variations in Gene Expression in Corneal Endothelial Cells Among Healthy Individuals and Patients with Fuchs Endothelial Corneal Dystrophy
Tatsuya Nakagawa, Ayana Tateishi, Yuichi Tokuda, Masakazu Nakano, Kei Tashiro, Theofilos Tourtas, Ursula Schlötzer-Schrehardt, Friedrich Kruse, Noriko Koizumi, Naoki Okumura
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39791958/
Cornea. 2025 Jan 10. doi: 10.1097/ICO.0000000000003798. Online ahead of print.
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渡辺公貴教授(生命医科学部 医工学科 教授)、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構、株式会社タカラトミー、ソニーグループ株式会社が共同で行った月面ロボットSORA-Qの開発プロジェクトが、第7回日本オープンイノベーション大賞にノミネートされました。
2025年2月5日(水)15:30~18:30に行われる表彰セレモニーが下記URLよりご視聴いただけますので、ぜひご視聴ください。
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永田龍生さんと吉村柚香さん(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 バイオマテリアル研究室)が、2024年12月14日~15日に横浜国立大学で開催された日本機械学会第35回バイオフロンティア講演会において、若手優秀講演賞を受賞しました。
軟骨再生において、基質となるコラーゲンの産生量を増加させることは極めて重要であり、力学的刺激が着目されています。しかし、有効な刺激は条件比較による探索が必要であり、状態に応じて最適化できないことが課題となっています。そこで本研究では、コラーゲン産生に関わるCol2a1遺伝子の発現量・位置をライブイメージング可能な遺伝子を作製し、Col2a1の発現動態に応じてリアルタイムに外的刺激を最適化可能なシステムを開発しました。本手法によりCol2a1発現量の増加を可能とする最適刺激の確立に成功し、本研究成果と発表内容に対して高い評価をいただきました。
「軟骨基質の効率的産生に向けた可変力学刺激制御システムの確立」
永田 龍生(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 博士課程(前期課程) 2年次生)
小林 永(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 博士課程(前期課程) 2年次生)
森田 有亮(生命医科学部 医工学科 教授)
山本 浩司(生命医科学部 医工学科 教授)
疾患や外傷による生体組織の大規模損傷に対して、細胞とスキャホールドを用いた組織再生法の開発が進められています。PLLAスキャホールドは生体適合性に優れているものの、細胞接着性が乏しいため、早期の組織再生に至らないことが課題です。本研究では、PLLAにゼラチンマイクロ粒子を混合することによって、表面性状と細胞接着タンパク導入の制御を可能としました。本手法によってPLLAスキャホールドへの細胞接着および細胞増殖の大幅な改善を認め、本研究成果と発表内容に対して高い評価をいただきました。
「ゼラチンマイクロ粒子混合によるPLLAスキャホールドの細胞接着性改質」
吉村 柚香(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 博士課程(前期課程) 1年次生)
中川 脩(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 博士課程(前期課程) 2年次生)
山本 浩司(生命医科学部 医工学科 教授)
森田 有亮(生命医科学部 医工学科 教授)
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2024年11月16日に開催された、脳科学に関する幅広い研究内容を対象とした脳科学若手の会 第30回秋の談話会において、大学院生やポストドクターが多く発表する中、道本智揮さん(生命医科学部 医情報学科)が最優秀口頭発表デザイン賞を受賞しました。本賞は、研究内容の本質を的確に捉え、多くの参加者にとって理解しやすい発表を行った学生に対して授与されるものです。
道本さんは、アブラコウモリにおける加齢性難聴の有無を検証するため、異なる年齢の個体間で聴覚機能を比較する実験系を構築する研究を行いました。その結果、スナネズミやマウスといった他の主要な実験動物と同様に、聴覚情報に依存する種のコウモリにおいても聴覚機能の年齢間比較が可能であると示しました。さらに、幼少期の母子分離や狭い飼育環境が、聴覚機能の発達に影響を与える可能性も示しました。
アブラコウモリにおける聴性脳幹反応を用いた加齢性難聴の評価
道本 智揮(生命医科学部 医情報学科 4年次生)
橋澤 寿紀(生命医科学研究科 学振特別研究員PD)
西内 唯夏(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 博士課程(前期課程)2年次生)
小林 耕太(生命医科学部 医情報学科 教授)
飛龍 志津子(生命医科学部 医情報学科 教授)
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生命医科学部・生命医科学研究科事務室 TEL:0774-65-6020
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