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医工学コース 教員紹介

小泉 範子

小泉 範子 教授
職 名 教授
主要担当科目(学部) 医工学・医情報学概論、医工学基礎実験、再生医科学
主要担当科目(大学院) 再生医療特論、再生医科学深論

プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪教育大学附属高校天王寺校舎出身。1994年京都府立医科大学卒業、眼科専門医、医学博士。ケルン大学眼科留学(フンボルト財団研究員)を経て、2003年より同志社大学再生医療研究センター助教授、2008年より同志社大学生命医科学部准教授、2010年より同志社大学生命医科学部教授。京都府立医科大学客員教授として大学病院の角膜専門外来で診療を行う。再生医療や創薬による新しい治療法を開発し、臨床現場に橋渡しすることをめざしている。ベルツ賞1等賞、Pfizer Ophthalmics Carl Camras Translational Research Awards(米国)、日本再生医療学会賞(臨床部門)などを受賞。

研究テーマ

角膜再生医療と新規治療薬の開発

研究の概要

角膜内皮細胞は角膜を透明に保つために必須の細胞ですが、再生能力が乏しく障害されると角膜が濁って視力を失います。このような角膜内皮の病気(水疱性角膜症)に対して、ティッシュエンジニアリング研究室では「再生医療」と「創薬」による新しい治療法の開発を行っています。同志社大学で行った研究成果をもとに、2013年には培養角膜内皮細胞の細胞注入治療が臨床応用され、これまでに50人以上の患者さんが視力を回復されるなど素晴らしい治療効果が得られています(The New England Journal of Medicine, 2018)。現在は、細胞注入治療を製品化し広く世界の患者さんに届けるための研究を行っています。また、世界で最も多い角膜内皮の病気である「フックス角膜内皮ジストロフィ」のメカニズムを明らかにし、世界で初めてとなる点眼治療薬の開発に挑戦しています。
リエゾンオフィスニューズレターVol.52「アカデミア発の研究シーズで眼科医療に革新を」[PDF 5.8MB]

受験生・在学生へのメッセージ

「機械工学を勉強する医工学科で、どうして再生医療や薬の研究をやっているの?」と思う人がいるかもしれません。ティッシュエンジニアリング研究室の学生たちは、学科で学んだ専門知識に加えて、最新の医学論文を読み、再生医療や薬の研究に必要な知識を勉強します。研究を通して学生たちが身に着けるのは「困難な課題に粘り強く取り組み、仲間と協力して解決する力」であり、将来どのような職業についても必要になる普遍的な能力です。卒業生たちは、機械系企業はもちろんのこと、製薬企業や化粧品・食品関連企業の研究者や、コンサルティング企業など様々な分野で活躍しています。医師である私にとって、世界中の多くの患者さんや未来の患者さんに新しい治療法を届けることのできる研究はとてもやりがいがあり、同志社大学で皆さんと出会えたことに感謝しています。

奥村 直毅

奥村 直毅 教授
職 名 教授
主要担当科目(学部) コンピュータプログラミング、臨床解剖学概論
主要担当科目(大学院) 機能解剖特論

プロフィール

2001年京都府立医科大学卒業、京都府立医科大学眼科学教室に入局し、眼科研修医としてトレーニング。その後、眼科医師として診療・手術に従事。2010年京都府立医科大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士、日本眼科学会認定眼科専門医。ライフワークとして角膜疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。2020年より同志社大学生命医科学部教授。

研究室ウェブサイト
ReseachGate

研究テーマ

角膜内皮障害に対する薬物治療および再生医療の開発

研究の概要

私の研究のゴールは、角膜内皮障害による重症の視力障害に対して新しい治療法を開発し患者さんに届けることです。角膜は車のフロントガラスに例えられる透明な組織です。角膜内皮細胞という角膜の裏側にある細胞がFuchs角膜内皮ジストロフィ、外傷、眼科手術などにより傷つけられると、本来透明であるべき角膜が白く濁ってしまいます。治療法は亡くなったドナーに提供いただいた角膜を移植するのみです。しかし、ドナー角膜は世界的に不足しており、手術も容易ではなく、患者さんの負担は大きなものであるというのが現状です。 私達の研究チームは、将来は点眼薬などの治療薬による進行予防と、万が一進行した場合には再生医療による簡単な治療が行われるようになると考えています。実際に私達の研究成果をもとに2013年より京都府立医科大学おいて世界初となる角膜内皮の再生医療が開始されました。現在は製品化に向けての研究開発を進めています。また、治療薬についても病気の原因を基礎研究により解明して、治療ターゲットを発見し、複数の治療薬候補を見出しました。これらの薬は複数の製薬企業などとともに開発を進めています。

受験生・在学生へのメッセージ

私達の研究室では、眼科医療を大きく変える可能性のある治療法の開発を行っています。もちろん簡単な道のりではありませんが、社会を良くするための本格的な課題に私達はもちろん研究室の学生が一丸となって取り組んでいます。また、ベンチャー企業や製薬企業との共同開発、特許対応、PMDA対応、国内外での臨床開発計画の策定など私達の研究の成果を確実に社会に届けるための活動をしています。我こそはという学生の皆さんが、研究室に入ってきてくださると嬉しく思います。

田中 和人

田中 和人 教授
職 名 教授
主要担当科目(学部) 医工学基礎実験、材料工学Ⅰ・Ⅱ
主要担当科目(大学院) マイクロマテリアル特論、機械材料設計学深論

プロフィール

1971年、京都市生まれ。1994年京都大学工学部機械工学科卒業後、京都大学大学院工学研究科機械工学専攻修士課程および博士課程に進学し、先進複合材料およびマイクロマテリアルの破壊・疲労特性に及ぼす環境効果に関する研究を実施。博士課程在籍中、1年間スウェーデン王立工科大学航空工学科に留学。1998年7月末に京都大学工学研究科博士課程を中退し、1998年8月に京都大学大学院工学研究科助手に就任。京都大学大学院工学研究科講師を経て、2005年4月より同志社大学工学部機械システム工学科助教授、2008年4月同志社大学生命医科学部医工学科バイオメカニクス研究室に移籍、2011年より教授。日本機械学会、日本材料学会、自動車技術会、日本複合材料学会、先端材料技術協会等の会員。趣味:海外旅行、車など。

研究テーマ

  1. 環境調和型先進熱可塑複合材料の成形技術開発と強度評価
  2. 生体・医療材料の創製とその信頼性確保

研究の概要

先進熱可塑複合材料や生体・医療材料を対象にして、ものづくりプロセスと材料の信頼性確保に関する研究を行っています。

  • 環境調和型先進熱可塑複合材料の成形技術開発と強度評価
    強化繊維として天然繊維、マトリックス樹脂として生分解性樹脂を用いたグリーンコンポジットと呼ばれる環境負荷の小さいFRP(繊維強化複合材料)が注目されています。ここでは、ジュート繊維やPLA(ポリ乳酸)といった植物由来の材料を用いた複合材料の成形方法の開発と機械的特性評価を行い、グリーンコンポジットの実用化を目指した研究を行っています。また、自動車産業においては、燃費向上のため量産車両の車体軽量化が必要不可欠とされており、一部スポーツカーなどにしか用いられていなかった炭素繊維強化複合材料(CFRP)の量産車への応用が期待されています。ここでは、熱可塑性樹脂を用いた繊維強化熱可塑樹脂基複合材料(FRTP)の成形方法の開発やその中間素材の開発をおこなっています。
  • 生体・医療材料の創製とその信頼性確保
    繊維直径が1マイクロメートル以下のナノファイバーは、再生医療用の培地などへの利用が期待されています。ここでは、生体適合性に優れた生分解性ポリマーの1つであるポリ乳酸を用いて、エレクトロスピニング法によりナノファイバーを創製し、その機械的特性評価技術の開発を行っています。また、これまでつちかってきた微小材料(マイクロマテリアル)の機械的特性評価技術をもとにして、材料の信頼性を確保することを目的に、生体薄膜材料などの生体・医療材料の機械的特性評価を行っています。

受験生・在学生へのメッセージ

さまざまな機器や機械が壊れないで安全に使用できるようにするためには、使われている材料が高い信頼性を有している必要があります。さらに、生体に使われる材料の信頼性を確保するためには、これまでの機械・構造物の信頼性確保とは異なった側面も持ちます。例えば、通常の機械や構造物では、実際の使用条件下で壊れないという条件を満たせばいいだけですが、生体材料では、材料そのものの耐久性だけでなく、材料が劣化あるいは損傷することにより生じた生成物の生物学的な影響、つまり、生体に悪影響を及ぼさないように考慮する必要もあります。したがって、材料に対する工学的な知識だけでなく、生命医科学の知識も同時に勉強することが非常に重要です。新しい生命医科学という分野で、皆さんと一緒に学べるのを楽しみにしています。

川口 正隆

川口 正隆 教授
職 名 教授
主要担当科目(学部) 材料力学、材料力学演習、医工学応用実験
主要担当科目(大学院) 医用複合材料学特論

プロフィール

1956年、長崎市生まれ。福岡市に移り、1975年に福岡県立修猷館高校卒業。1979年に同志社大学工学部機械第二工学科卒業、1981年に同志社大学大学院工学研究科機械工学専攻修士課程(複合材料研究室)では衝撃弾塑性解析の研究で修了。 1981年より三菱重工業(株)明石製作所に入社し、建設機械の低振動化及び低騒音化の研究を開始。1984年より三菱重工業(株)高砂研究所へ異動し、建設機械の制振及び音質評価の研究に従事し、1992年に同志社大学より学位授与(博士)。1996年から2年間、高砂研究所を離れて、新キャタピラー三菱(株)へ異動し、建設機械のパイオニアである米国キャタピラー社研究所との交流により建設機械の技術的な奥深さを知る。 1998年に三菱重工業(株)高砂研究所に戻り、物流機械や各種製品の振動及び多体動力学解析業務に従事。特に、多体動力学解析では海外の大学と長年の共同研究も実施。 2012年に関連会社に異動、2017年からキャタピラージャパン社で主に建設機械の振動解析に従事。2020年から同志社大学生命医科学部医工学科バイオメカニクス研究室。
現在、日本機械学会正会員
趣味:テニス(20代後半から)、ゴルフ(50代から)、旅行(国内,海外)

研究テーマ

  1. 高減衰マウント(防振部材)による運転室の低振動化及び振動解析
  2. 並列演算による大規模モデルの非線形振動解析及び高速化

研究の概要

  • 高減衰マウント(防振部材)による運転室の低振動化及び振動解析
     建設機械の運転室(キャブ)は90年代までは天然ゴム(NR: Natural Rubber)による防振支持法が採用されていたが、NRの減衰性能が低いために、掘削作業中に過酷な振動に曝されていたので、居住性向上の要求が強かった。これに応える為に開発されたのが、内部に高粘度のシリコンオイルを封入したビスカスマウントであり、2000年頃から各メーカーの運転室の防振部材として採用され、大幅な低振動化を果たしてきた。
     しかし、このマウントの動剛性は周波数特性を有しており、既存の力学モデルを適用した振動解析が困難であるので、振動実験を主体として開発が進められてきた。本研究では、設計段階での運転室の振動レベルの予測を可能とすべく、マウント動剛性を近似できる力学モデルの提案と物性値同定に基づき、運転室の防振支持系の振動解析法を開発している。
  • 並列演算による大規模モデルの非線形振動解析及び高速化
     機械製品の振動解析においては、部品細部に亘って高精度なメッシュ分割がなされることにより、有限要素モデルが大規模化し、1千万自由度以上の解析モデルも使用されるようになっているが、従来の振動解析法では例えば一解析で一週間以上の膨大な解析時間増大の問題があるので、開発の期間短縮や効率化の為には解析時間の短縮が重要課題となっている。この課題の解決の為には、並列演算に適した自動多段モード合成法(AMLS: Automated Multi-Level Sub-structuring)を採用した解析ソルバが有望と思われ、解析理論や製品設計への適用に関する検証を進めてきた。
    更に、本手法によれば、運動方程式の線形領域のみに上記のモード合成法を適用し自由度を大幅に縮減し、非線形領域の自由度を残すことにより、各種の非線形振動解析に展開することが可能になるので、本研究では解析アルゴリズムの提案と、解析高速化(時間短縮)と精度についての検証を実施している。

受験生・在学生へのメッセージ

社会に出る前の最も多感な時期と思います。「学問に王道なし」と言うことわざがありますが、一部の賢者を除いて、我々凡人はこのことわざのように、地道に教科書を読み込んで、基礎を固めた上で、専門分野に進むことが必要です。私の恩師は、「専門書を1回読んで判らないのは当り前で心配する必要は無い。10回読んだら判るようになる。」と言われていました。不思議なもので、理解しようと思って、他の教科書も合わせて読むと或る日突然、目の前が開けて理解できるようになります。そのような積み重ねが自分の技術力を向上させて、一流のエンジニアになる近道と思います。
 そうは言っても、学生時代の友人は「人生の友」ですので、周りの友人との交流は大事にして、時には思い切り遊ぶことも重要です。学生時代は自分を磨き、自分を見つめる大事な時期ですので、「良く学び、良く遊べ」を実践してください。

伊藤 利明

伊藤 利明 教授
職 名 教授
主要担当科目(学部) 微分積分学Ⅰ・Ⅱ、代数学Ⅰ・Ⅱ、応用数理Ⅰ・Ⅱ
主要担当科目(大学院) 非線形数理特論、非線形応用数理深論

プロフィール

1959年岐阜県羽島市生まれ(水害の歴史で有名な輪中地帯)。東海大学工学部航空宇宙学科卒業、東京大学大学院工学系航空学専攻(工学博士)。神戸大学経営学部(講師)、徳島大学総合科学部(助教授・教授)、2008年同志社大学生命医科学部(教授)。数理科学・応用数学・工学・物理学・情報科学など色々な分野に興味を持って研究活動をしてきました。今後は生命や医学に関するテーマにも応用数理の見地から挑戦したいと思っています。趣味:未だに飛行機操縦の夢も捨てられません。飛行艇や飛行船もいいですね。

研究テーマ

現象の連続性や不連続性に注目した非線形現象理解のための計算法とその応用の研究。

研究の概要

自然界における色々な複雑な問題・現象に対し、その数理モデル(特に離散モデル)の考案・解析・応用を研究しています。特に連続モデルを重視しつつ、それと異なる離散モデルによる非線形現象の特徴や現象の厳密な再現可能性を追求しています。数理科学を土台とし、研究では計算機処理に便利な独自の数値解析・数式処理的手法を多用します。計算機システムで複雑な現象を厳密に再現できるようになることは、その現象を解明するに至る1つの入り口であると考え研究を進めています。

受験生・在学生へのメッセージ

専門・応用の基礎として大事な1分野である数学関係の授業を通じ、皆さんと最初に出会うことになるかと思います。理工系では数学がとても重要であることをよく知ってはいても、好きになれないとか、どうしても分からない、だから違う科目でがんばればいいと妥協してしまう、ということを皆さんが経験することはよく知っています。その実、私も数学の授業を何度も受けても分からないことばかりでした。しかし「分からないものは放って置く」、という対処が一番の前進の妨げになることがわかります。これはどの場合にも言えることです。この壁につきあたらないよう、数学を楽しく学び、皆さんが興味のある専門分野・将来において数学的指向が役立てられるよう、一緒にがんばりましょう。

森田 有亮

森田 有亮 教授
職 名 教授
主要担当科目(学部) 製図学基礎、医用設計工学実習Ⅰ、医用機械設計法、バイオマテリアル
主要担当科目(大学院) バイオマテリアル特論、バイオマテリアル深論

プロフィール

1968年兵庫県生まれ。1992年、同志社大学工学部卒業。1994年、同志社大学大学院工学研究科博士前期課程修了。その後6年間の機械メーカーでの勤務を経て、2003年に京都大学大学院工学研究科博士後期過程修了。2004年大阪工業大学講師、2006年大阪工業大学助教授。2007年より米国Rush University Medical Center客員助教授。2008年同志社大学生命医科学部教授。

研究テーマ

組織再生で重要となる細胞の培養環境設計および培養装置の開発、また再生組織の力学的機能や生体材料の特性の評価。

研究の概要

医療の目的は単に治療するだけでなく患者の生活の質(QOL)を再生することです。近年の高齢化に伴い、リウマチや関節炎などの関節疾患が社会問題となっています。荷重支持・衝撃吸収・潤滑といった機能を有する関節軟骨は、日常生活において重要な役割を担っています。QOLを維持するために、近年ではTissue Engineeringを応用した再生軟骨に関する研究が活発に行われています。優れた力学機能を有する関節軟骨を再生するために、軟骨細胞の活性に及ぼす物理的刺激の影響や再生軟骨組織の力学的機能の評価・診断技術に関して研究を行っています。

受験生・在学生へのメッセージ

医工学は、機械工学・医学・生物学などの複合領域である新しい分野です。多岐にわたる分野の知識や、医師や他分野の研究者との共同研究を通して、物事に対する幅広い視野と柔軟な思考力が養われることと思います。積極的に新しい分野にチャレンジして欲しいと思います。

横川 隆一

横川 隆一 教授
職 名 教授
主要担当科目(学部) 医工・医情報学概論、制御工学Ⅰ・Ⅱ、メカトロニクス
主要担当科目(大学院) 機械制御工学特論、医用ロボット工学深論

プロフィール

1963年大阪市生まれ。
1986年同志社大学工学部機械工学科卒業、
1988年同大学大学院工学研究科機械工学専攻博士課程前期課程修了
1989年同大学大学院工学研究科機械工学専攻博士課程後期課程中退
1989年4月より同志社大学工学部助手
2002年4月より同大学工学部教授
2002年4月より2004年3月 同志社大学大学院工学研究科博士課程(前期課程)教授
2004年4月より同志社大学大学院工学研究科博士課程(後期課程)教授
2008年4月より同志社大学生命医科学部教授

1998年~2000年 同志社大学在外研究員(英国オックスフォード大学)

日本機械学会、日本ロボット学会、システム制御情報学会、日本ロボット工業会、IEEEの会員。

研究テーマ

人の手の運動解析、ロボットハンドの制御

研究の概要

人間は、器用な手によって道具を作り、さらにそれらをあやつり、文明を築いてきました。このことを考えると、人間の手の器用さは、これまでの人間の進化にとって重要な要因だということがわかります。手の構造を調べ、その仕組みと機能との関係を調べることは、人間の持つ知能とは何かを知る上での近道になるかもしれません。

研究内容

受験生・在学生へのメッセージ

生命医科学部の教育・研究の内容は、私たち自身の体に関することです。自分自身のことなので、最もよく知っているはずですが、何も知らないのが現実です。私の研究対象である人の手の機能を見ても非常に複雑です。 人が何かを作るときには、目的があります。たとえば、F1のように極限までスピードを追求するレース用の自動車、 環境への優しさを追求したエコカーなど自動車一つをとっても、その目的に応じて多種多様です。何にでも対応できるように設計されたものは結局、何にも対応できません。われわれの手は何のために作られているのか? 大切な人を抱きしめるため?人と仲良く握手するため? それとも、人を殴って傷つけるため? それは、手の中に隠されているはずです。自分自身の体のことを、自分自身を、この学部で一緒に考えてみませんか?

積際 徹

積際 徹 准教授
職 名 教授
主要担当科目(学部) 制御工学Ⅰ・Ⅱ、計測工学、医用ロボット
主要担当科目(大学院) ロボット工学特論

プロフィール

1976年 広島県三原市生まれ。奈良県立北大和高等学校出身。
1998年 同志社大学工学部卒業。
2000年 同志社大学大学院工学研究科(前期課程)修了。
2003年 同志社大学大学院工学研究科(後期課程)修了。博士(工学)。
2003年 島根大学総合理工学部助手。
2006年 同志社大学工学部助手。
2007年 同志社大学工学部専任講師。
2008年 同志社大学生命医科学部専任講師。
2010年 同志社大学生命医科学部准教授。
2018年 同志社大学生命医科学部教授。
現在、日本ロボット学会、日本機械学会、日本設計工学会、IEEE(アメリカ電気・電子学会)の会員です。

趣味はバイク・車で行く酷道・狭路巡りと温泉巡り。島根大学赴任時(島根県松江市在住時)には、島根県東部の道という道をほぼ走り尽くし、温泉地もほぼ制覇しました。山陰は海あり、山ありの地で環境がよいうえに、ひなびた小道や酷道がたくさんあり、ドライブやツーリングには最高の場所でした。同志社大学に転任するにあたり、再び近畿の土地に戻ってきました。これからは学生時代に走り残した近畿の道を走っていきたいと考えています。

研究テーマ

人間とロボットの共同-協調作業に関する研究
生体に優しい動きを実現するロボットの制御法に関する研究
ロボットの機構解析に関する研究

研究の概要

「ロボット」と一口に言っても、いろいろな種類のロボットがありますが、メディカルロボティクス研究室(担当教員・構成員:横川 隆一 教授、積際 徹 准教授)では、「ヒト(人間)」を助けてくれるロボットの研究を行っています。現在、日本では急速な少子高齢化が進みつつあり、近い将来において深刻な労働力不足が懸念されています。同時に、高齢化社会における老老介護など、介護・福祉に関わるさまざまな問題も潜在しています。このような問題を解決する方法として、人間が行う作業を手助けし、力仕事などの負担を軽減してくれるロボットに注目が集まっています。

ロボットが人間を手助けし、共に作業を行うためには、両者の間で力学的な相互作用(力のやりとり)を実現しなければなりません。これは「力」を介したロボットとの「コミュニケーション」と捉えることができるのですが、「人間同士」なら「以心伝心」で簡単に行えることが、「人間とロボット」ではまだまだ難しい状態です。今は、これらの問題を解決すべく、人間とロボットの共同作業・協調動作が円滑にできるようなロボットシステムの研究を行っています。

ここで、「なぜロボットだけを利用して全自動化しないのか?」という疑問がわいてきますが、たとえば、介護や福祉の作業のすべてはロボット任せにはできません。人間のぬくもりやこまやかさは、今のところロボットでは実現できませんし、介護を受ける被介護者の方も、無機質なロボットに対応されるよりも、やはり人間の方がよいでしょう。ただ、介護・福祉に関わる作業は、人間に負担をかける作業が多くあります。そこで、それらを助けるロボットや機械システムが必要になります。また、労働力不足を補うシステムを考えた場合にも、生産過程に伴う作業が完全に自動化されるのではなく、人間の持つ能力を引き出し、それをサポートすることが重要になりつつあります。完全な自動化も可能ですが、近年、様々な生産施設で導入されているセル生産システムでは、人間が主体となって組み立てなどの生産作業を行っています。それらの作業をロボットを用いて補助することにより、生産効率を上げつつ、人間の疲れを軽減させたり、高度な技能を補助したりと、多様な方面からサポートすることができます。

このように、近年ではロボットの性能や機能のみを追求するだけでなく、「いかに人間と協調できるか?」が重要なテーマになりつつあります。このチャレンジングな問題に取り組むためには、工学的な知識だけでなく医学的な知識やヒト(人間)に対する関心を持ち、さらにそれらを効果的に融合する能力が求められます。生命医科学部医工学科では、生命体としての「ヒト」を学んだ上で、これらの研究を実施していきます。

受験生・在学生へのメッセージ

歴史ある同志社大学に先端工学領域を担う生命医科学部が設立されました。学生のみなさんと共にこの新しい学部を作り上げていくという「志」を抱きながら、期待に胸をふくらませています。次世代の工学や生命科学を担っていくみなさんと、この生命医科学部でお会いできることを楽しみにしています。

剣持 貴弘

剣持 貴弘 准教授
職 名 教授
主要担当科目(学部) 物理学基礎、力学、コンピュータプログラミング、物理学Ⅰ・Ⅱ、電磁気学
主要担当科目(大学院) 放射線科学特論

プロフィール

1970年、岡山生まれ。岡山理科大学理学部を卒業後、岡山理科大学大学院理学研究科、総合研究大学院大学数物科学研究科を修了(博士【理学】)。その後、文部科学省核融合科学研究所非常勤研究員、岡山理科大学シミュレーション科学センター博士研究員等を経て、2004年4月より吉備国際大学政策マネジメント学部環境リスクマネジメント学科講師として勤務。2008年4月から同志社大学生命医科学部医工学科に着任。

研究テーマ

荷電粒子(イオン)と固体との相互作用

  1. スパッタリング現象に関する理論・シミュレーション研究
  2. 核融合装置の壁材料の損耗に関する研究
  3. イオンエンジンの材料損耗に関する研究

研究の概要

イオンビームを固体表面に当てると固体の構成原子が固体表面から弾き飛ばされる“スパッタリング”という現象が起こります。このスパッタリング現象は、現在半導体の製造、薄膜の生成など、広く工学的に応用されています。その他のも、スパッタリング現象は核融合装置の壁材料やイオンエンジンの材料の損耗を引き起こします。これらの材料のスパッタリングによる損耗を理論及びコンピュータシミュレーションによって研究を進めています。また、これまでの研究は主に無機物のスパッタリング研究を行ってきましたが、この経験を元に、今後有機物(生体材料)に関するスパッタリングの研究も進めて行きたいと考えています。

受験生・在学生へのメッセージ

学生時代は自分の自由になる時間が多くあります。何か目標を見つけてチャレンジする絶好の時期だと思います。是非、在学中に目標を見つけてどんどんチャレンジしていってください。また、勉強だけでなく、クラブ・サークル活動、アルバイト等などにも積極的に関わり、有意義な学生生活を送って欲しいと思います。

山本 浩司

山本 浩司
職 名 教授
主要担当科目(学部) バイオメカニクス、材料力学I、 II、BioMEMS
主要担当科目(大学院) 医用デバイス特論

プロフィール

1977年兵庫県生まれ。2001年、東京大学工学部産業機械工学科卒業。2003年、横浜国立大学大学院環境情報学府環境システム学専攻マテリアルシステムコース博士前期課程修了。2007年、京都大学大学院工学研究科機械工学専攻博士後期課程修了。2年間のポスドクを経て、2009年より京都大学医学部附属病院整形外科において特定助教、2012年同講師を務め、2013年より京都大学学際融合教育研究推進センター・健康長寿社会の総合医療開発ユニット特定准教授。2016年より同志社大学生命医科学部准教授。2020年より同学部教授。

研究テーマ

  • メカノバイオロジーに基づく生体組織の機能発現解析
  • 細胞や組織の状態をモニタリングしたバイオリアクターの開発

研究の概要

工業製品の場合、構造や機能はヒトの意思によってフレームが決まりますが、生体組織の場合は要素となる細胞と組織周囲環境との関係性によって(おそらく無意識に)それらが規定されています。体外で生体組織の再生を行う場合、細胞の遺伝子やタンパク質の発現変化に加えて、如何に組織レベルで構造化するのか、機能化するのかを知ることが臨床応用につながる鍵となります。外部環境(力学刺激やマテリアル)に対する細胞レベルの応答と組織レベルの構造・機能との関係を調べるために、分子生物学的手法を用いて遺伝子やタンパク質の発現をモニタリングし、工学的手法によって細胞・組織レベルの状態を制御、計測・評価する系を構築しています。現在は主に骨や軟骨組織をターゲットにした研究を行っています。

受験生・在学生へのメッセージ

一つの分野で常識とされる知識や理論が、他の分野ではまったく浸透していない、あるいは異なる解釈が与えられていることがあります。その際に優劣を求めるのではなく、背景にある捉え方や文化を真摯に理解し、貪欲に吸収・応用する姿勢が大切です。専門性はもちろん重要ですが、生命現象を対象とする医科学、医工学領域は特にそのような柔軟な感性が新たな世界を拓くことが少なくありません。学業は言うに及ばず、いろいろなことに純粋な好奇心を持って取り組んで欲しいと思います。