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生命医科学研究科 医生命システム専攻 奥田祐太さんらの研究成果がBiochemical and Biophysical Research Communications誌に掲載されました。
生命医科学研究科 医生命システム専攻 分子生命分野 奥田祐太さん(博士後期課程3年次生)、高橋美帆 准教授、西川喜代孝 教授らの研究成果がBiochemical and Biophysical Research Communications誌に掲載されました。
慢性骨髄性白血病(CML)は、異常融合タンパク質であるp210 BCR-ABLによって引き起こされます。これまで、p210 BCR-ABLは細胞質に存在し、ABLチロシンキナーゼを介して、その下流シグナルであるPI3K/AKT、JAK/STAT5、RAS/MAPKの3つの主要経路を常時活性化していると考えられていました。
最近本研究室では、CML細胞では常に一定量のp210 BCR-ABLがミトコンドリア膜上に存在していること、その結果アポトーシス阻害分子であるcIAP1/2が誘導され、CML細胞の生存維持に貢献していること、を見出しました。しかしながら、p210 BCR-ABLのミトコンドリア局在が、上記3種の主要シグナル経路にどう影響するかは未解明でした。
本論文では、p210 BCR-ABLがミトコンドリアに移行すると、RAS/MAPK経路の主要分子であるERKが顕著に不活化されること、一方でPI3K/AKT、JAK/STAT5の2経路には影響を与えないこと、を見出しました。さらに、p210 BCR-ABLのミトコンドリア移行には活性酸素種(ROS)によるミトコンドリア障害が重要であること、ROSを消去する薬剤NACによりこのミトコンドリア移行が阻害されること、その結果ERKの不活化が完全に回復すること(図)を見出しました。このことは、p210 BCR-ABLは環境の変化に応じて細胞内局在を変え、その際下流シグナル経路を特異的に切り替えることによって、どのような環境に対しても最適な増殖を維持できるようにしていること、を示しています。本研究によりCML細胞の巧妙な生存戦略が解明されたことで、今後新たな治療薬開発への展開が期待できます。
関連情報
論文タイトル
著者
Yuta Okuda, Miho Watanabe-Takahashi, Kiyotaka Nishikawa*
*Corresponding author
雑誌
Biochemical and Biophysical Research Communications Volume 829, 3 September 2026, 154168
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