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生命医科学研究科 医生命システム専攻修了生 安西聖敬さん、髙橋美帆助教、西川喜代孝教授らの研究成果が、Communications Biology誌に掲載されました。
生命医科学研究科 医生命システム専攻 分子生命分野 安西聖敬さん(2022年度修了)、髙橋美帆助教、西川喜代孝教授らの研究成果が、Communications Biology誌に掲載されました。
骨の恒常性は、破骨細胞による骨破壊と骨芽細胞による骨形成のバランスで維持されており、このバランスが骨破壊側に傾くと骨粗鬆症や関節リウマチなど様々な骨破壊疾患が引き起こされます。そこで、破骨細胞の働きを抑制できればこれら疾患の治療につながると期待されます。安西さんらは、造血幹細胞から破骨細胞への分化を効率よく阻害する多価型ペプチド、WHD-tetを開発しました。さらに、WHD-tetはマウスを用いた骨破壊モデルでも効率よく骨密度の減少を抑制することを見出しました(図1)。
造血幹細胞が破骨細胞に分化するためには、破骨細胞分化因子であるRANKLが細胞表面に存在するRANKに結合することが必須です。この時、RANKの細胞質側にアダプター分子であるTRAF6が会合し、分化に必要な様々なシグナルが発生します。これらシグナルの重要性は分化段階によって異なります。安西さんらは、WHD-tet は分化の非常に遅い段階で働くこと、この時RANKとTRAF6の相互作用を絶妙に調節することによって、MKK3と呼ばれるキナーゼのTRAF6へのリクルートのみを特異的に阻害し、最終分化に必要なシグナルを効率よく抑制していることを見出しました(図2)。WHD-tet はタンパク質間の相互作用を微細に調節することで下流シグナルの量と質を制御する、新たなタイプの治療薬として期待されます。
研究内容の詳細は以下の関連情報をご覧ください。
関連情報
論文タイトル
Clustered peptide regulating the multivalent interaction between RANK and TRAF6 inhibits osteoclastogenesis by fine-tuning signals
著者
Anzai M., Watanabe-Takahashi M., Kawabata H., Masuda Y., Ikegami A., Okuda Y., Waku T., Sakurai H., Nishikawa Ke., Inoue J., and Nishikawa K*
*Corresponding author
雑誌
Communications Biology, 2025 Apr 22;8(1):643
doi: 10.1038/s42003-025-08047-2
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