このページの本文へ移動
ページの先頭です
以下、ナビゲーションになります
以下、本文になります

トピックス

生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻修了生 赤木歩さんらの研究成果が、「Japanese Journal of Ophthalmology」に掲載されました。

2025年10月1日 更新

生命医科学研究科 ティッシュエンジニアリング研究室の赤木歩さん(2025年3月修了)らの研究成果が、日本眼科学会の公式英文誌「Japanese Journal of Ophthalmology」に掲載されました。

本研究は、島根大学医学部眼科学講座 谷戸正樹教授との共同研究による成果です。

緑内障は眼圧が上昇することで視神経が障害され、世界的に失明原因の上位を占める疾患です。治療の基本は眼圧を下げることですが、眼圧が十分にコントロールされても視野障害が進行する患者が少なくありません。そのため、血圧や血流といった血管因子が関与している可能性が指摘されてきました。

研究チームは、島根大学医学部附属病院に通院した緑内障患者1,634名の電子カルテ36,561件から、眼圧や血圧、投薬など216項目の臨床データを自然言語処理で自動抽出し、428名(POAG 295名、EXG 133名)を解析対象としました。

その結果、眼圧や血圧が厳格に管理された環境では、眼灌流圧(ocular perfusion pressure: OPP)は視野進行の有意な予測因子とはならず、代わりに高齢、初期の視野障害の重症度、使用薬剤数など従来の臨床因子がより強く関連していることが示されました。これは、血管因子の関与を否定するものではなく、日常診療で測定される血圧・眼圧の範囲内では予測力が限定的であることを示しています。

本成果は、緑内障管理において依然として眼圧コントロールが最重要である一方で、AIを活用した電子カルテ解析が大規模・高精度な臨床研究を可能にすることを示した点でも意義深いものです。

生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻修了生 赤木歩さんらの研究成果が、「Graefe's Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology」に掲載されました。 (117389)


【赤木歩さんのコメント】

「本研究では、自然言語処理技術を用いることで、膨大な電子カルテデータを効率的に解析し、緑内障進行の因子を明らかにすることができました。予想に反して眼灌流圧の影響は限定的であることがわかり、眼圧管理の重要性を再確認するとともに、AI技術が臨床研究に強力なツールとなり得ることを実感しました。」

論文情報

タイトル

Role of perfusion-related metrics in visual field progression of primary open-angle and exfoliation glaucoma: a natural language processing approach

著者

Ayumu Akagi¹, Kaito Narimoto¹, Kanta Ueda¹, Noriko Koizumi¹, Naoki Okumura¹*, Masaki Tanito²
*責任著者
1. 同志社大学 2. 島根大学

掲載紙

Japanese Journal of Ophthalmology

DOI:10.1007/s10384-025-01277-1

(オンライン掲載日:2025年9月29日)
お問い合わせ

生命医科学部・生命医科学研究科事務室

TEL:0774-65-6020
FAX:0774-65-6019
E-mail:jt-semjm@mail.doshisha.ac.jp

お問い合わせ一覧(部課所在・事務取扱時間案内)