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トピックス

生命医科学研究科 医生命システム専攻修了生 濵信一郎さん、生命医科学部 高橋美帆助教、西川喜代孝教授らの研究成果が、mBio誌に掲載されました。

2024年12月11日 更新

濵信一郎さん(生命医科学研究科 医生命システム専攻 分子生命化学研究室 2022年度修了、現:国立感染症研究所研究員)、高橋美帆助教、西川喜代孝教授らの研究成果が、mBio誌(2024年11月27日付)に掲載されました。

現在使用されているA型インフルエンザウイルス(IAV)治療薬は、ウイルスタンパクを標的としており、このため薬剤耐性が出やすいという問題がありました。我々は、これまでIAVの増殖に関わることが知られている200種を超える宿主側タンパクの一つ、Ca2+-カルモデュリン依存性タンパクキナーゼII(CaMKII)に着目し、独自にCaMKII阻害ペプチド(M3)を開発しました。IAVはマウスに感染すると高い致死性を示しますが、M3は完全にこの致死性を抑制しました。

M3の作用機構を詳細に検討した結果、CaMKIIは感染初期においてこれまでの常識をくつがえす経路でIAV増殖を促進していることと、M3はこの経路を特異的に阻害することで強力な抗IAV活性を示すことを見出しました。これまで、ウイルス感染時にはRIG-Iと呼ばれる自然免疫に関わるタンパクが活性化し、大量のI型インターフェロン(IFN)を産生することで抗ウイルス作用を発揮することが知られていました(図中の古典的RIG-I 経路)。今回、CaMKIIは感染数時間以内に迅速にRIG-Iを活性化することと、この時産生されるIFN mRNAはごく微量であるにもかかわらず、その5’キャップ構造が優先的にIAVのmRNA合成に転用され、IAV増殖に必須の働きをしてしまうことを見出しました。すなわち、ウイルス感染防御に働くRIG-Iには、ウイルス増殖を助けてしまう側面(図中の非古典的RIG-I 経路)があることが初めて示されました。

この感染初期特異的なRIG-I経路の発見は、耐性の問題を克服する新たなインフルエンザ治療薬の創製を大きく推進すると期待されます。

生命医科学研究科 医生命システム専攻 分子生命分野 濱信一郎さん、高橋 美帆 助教、西川 喜代孝 教授、らの研究成果がmBio誌に掲載されました。 (108039)

研究内容の詳細は以下の関連情報をご覧ください。


関連情報

論文タイトル

CaMKII-dependent non-canonical RIG-I pathway promotes influenza virus propagation in the acute-phase of infection

著者

Hama S., Watanabe-Takahashi M., Nishimura H., Omi J., Tamada M., Saitoh T., Maenaka K., Okuda Y., Ikegami A., Kitagawa A., Furuta K., Izumi K., Shimizu E., Nishizono T., Fujiwara M., Miyasaka T., Takamori S., Takayanagi H., Nishikawa Ke., Kobayashi T., Toyama-Sorimachi N., Yamashita M., Senda T., Hirokawa T., Bito H., and Nishikawa K*.

*corresponding author

雑誌

mBio, 2024 Nov.27:e0008724
DOI: 10.1128/mbio.00087-24

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