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生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻修了生 稲垣蒼一朗さんらの研究成果が、「Scientific Reports」に掲載されました。
生命医科学研究科 ティッシュエンジニアリング研究室の稲垣蒼一朗さん(2025年3月修了)らの研究成果が、「Scientific Reports」に掲載されました。
本研究は、フランスのジャン・モネ大学、ドイツのエアランゲン・ニュルンベルク大学、京都府立医科大学との共同研究による成果です。
フックス角膜内皮ジストロフィ(FECD)は、両眼に現れる進行性の角膜内皮疾患で、「グッタ」と呼ばれる細胞外マトリックスの異常な沈着が特徴です。この病気によって視力が低下し、角膜移植が必要になることがあります。
稲垣さんらの研究チームは、FECD患者の角膜の成分と構造を詳しく調べました。タンパク質解析と遺伝子解析を組み合わせることで、FECD患者では19種類の分子が健康な人と比べて増加していることを発見しました。そのうち13種類はFECD患者の角膜に特徴的に生じるグッタの主たる構成成分である細胞外マトリックスに関連するタンパク質でした。さらに、本研究ではこれらのタンパク質が角膜内でそれぞれ独特の分布パターンを示すことを明らかにしました。
この研究結果は、FECDの病態の解明や、さらに進行度合いをより正確に評価し最適な手術計画を立てるために有用なものです。

私たちの研究では、フックス角膜内皮ジストロフィという目の病気で、角膜の裏側に異常に蓄積するタンパク質の種類と分布を詳しく調べました。これらのタンパク質は場所によって異なる分布を示し、病気の進行に重要な役割を果たしていることがわかりました。この発見は、病気の進行度をより正確に診断し、最適な治療法を選ぶのに役立つと考えています。ご指導・ご支援いただいた先生方、共同研究者の皆様に心より感謝申し上げます。大学院在学中にこのような国際的な研究プロジェクトに加えていただいた事はとても重要な経験となりました。
論文情報
Comprehensive identification of dysregulated extracellular matrix molecules in the corneal endothelium of patients with Fuchs endothelial corneal dystrophy
著者
Soichiro Inagaki, Hanielle Vaitinadapoule, Taichi Yuasa, Tatsuya Nakagawa, Masaya Ikegawa, Yumiko Toyama, Takashi Nirasawa, Yuichi Tokuda, Masakazu Nakano, Kei Tashiro, Theofilos Tourtas, Ursula Schlötzer-Schrehardt, Friedrich Kruse, Ines Aouimeur, Zhiguo He, Philippe Gain, Noriko Koizumi, Gilles Thuret, Naoki Okumura
関連情報
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