医情報学コース
医情報学コースの特色
ヒトや生物の優れた生体機能をヒントに新たな技術を創造する、最先端エンジニアを育成。機械・情報・電子工学をベースに、医学の視点を織り込むことで、自立性、独創性を高める教育を展開します。
教員紹介
医情報学コースの教員は、教員紹介(医情報学コース)でご案内しています。
研究トピックス
生体情報研究室
生体情報研究室(オリジナルサイト)
生体から得られる情報には物理的情報と化学的情報がある。本研究室では、その両面から生体情報にアプローチを行う。具体的には
- 生体内の情報伝達物質や類似の機能を有する生理活性化合物の作用の解明、合成法の開発や微量分析法の確立
- 生体内で行われる化学反応(酵素反応)の解明と応用 などを行う。
超音波エレクトロニクス・生体計測研究室
超音波エレクトロニクス・生体計測研究室(オリジナルサイト)
本研究室では、医用超音波イメージング、超音波照射による生体への影響、圧電デバイスの研究を行っています。
臨床医学における超音波応用は1970年代から始められ、放射線に比べると比較的新しい技術です。
その頃、CTも臨床応用が開始されて、医療における画像診断が広く普及していきました。
その後、1990年代頃から核磁気共鳴現象を用いたMRIが開発され、画像診断がさらに加速しました。
超音波やMRIは放射線の被曝といった問題のない安全性の高い技術です。
しかし、出力が大きくなると生体への影響を無視できなくなります。
本研究室では、MRIと組み合わせた新しい超音波イメージングを開発するとともに、
生体への影響を調査して、患者への負担の少ない技術を開発することを目的としています。
また、超音波発生や受信を担う圧電技術も扱っており、
分子間相互作用の検出などセンサデバイスへの応用にも取り組んでいます。
以上のように、基礎から応用計測まで医療における超音波技術の発展に
大きく貢献していくことを目指しています。
COVID-19パンデミックにおける肺炎の診断に超音波イメージングが活躍中
COVID-19パンデミックが広がる中で肺炎の診断の重要性が改めて認識されています。従来、肺炎の診断にはX線CTが用いられてきましたが、被曝のみならず利用できる施設が限られる、多数の患者に対して利用機会が限られているなどの現実的な課題が浮かび上がり、ベッドサイドで使える超音波イメージングが注目されています。
医用の超音波は高周波であるため空気中を伝搬せず、肺の様な空気の存在する部位については適用対象外とされてきました。しかし、最近、肺炎を起こした組織の表面において特徴的なパターンが現れ、超音波イメージングでも容易に診断可能なことがわかってきました。
また、超音波はリアルタイムで観察できる反面、視野が狭いため異常組織の発見に時間がかかるという課題もありました。そこで、MRIと超音波を同時撮像するマルチモダリティイメージングによってその問題を克服することにチャレンジします。
図は本研究室で新しく開発したMRIと超音波の同時撮像によって得られた頸部の画像です。このような研究は画像処理技術だけではなく超音波を発生させる圧電デバイス技術との融合によって実現されたもので、世界的に見ても新しい試みです。
脳神経行動工学研究室
脳神経行動工学研究室(オリジナルサイト)
当研究室では、ヒトや動物の脳・神経系を神経生理学的アプローチと行動学的・心理学的アプローチの双方の視点で研究している。例えば、脳が劣化雑音音声を意味のある音声に変換する機構の研究やコウモリの生物ソナーを使ったナビゲーション・システムの神経機構の研究である。これらの神経機構の解明は新しい情報処理システムや福祉機器の開発に結びつく。このほか動物の音声コミュニケーション機構の解明など、工学的応用を視野にいれて、「脳」に関する多彩な研究を行っている。
音声コミュニケーションの“脳”力の解明
ヒトだけでなく、ネズミ、サルなど様々な動物を対象に音声コミュニケーションがどのような脳の仕組みで行われているかを明らかにします。それらの成果から、ヒトとヒトの間だけでなく、ヒトと機械やヒトと動物間での情報や情動の伝達を改善・補助・効率化するシステムの開発を行っています。例えば、情動の知覚を可能にする非侵襲レーザー人工内耳、ヒトにとって生物学的に直感で理解できるインターフェイス、小型飼育動物をコンパニオン動物として活用するシステムの開発等です。
コウモリの“超”能力に学ぶ。
コウモリは暗くて狭い洞窟内で、周囲の壁や他のコウモリに衝突せず飛行し、餌となる小さな虫を捕まえます。その秘密は、コウモリが持つ超音波を利用したレーダーにあります。コウモリレーダーの計測速度は非常に遅く、たかだか100ヘルツ程度。数ギガヘルツのパソコンに比べて“超”低速演算装置ですが、コンピュータでは太刀打ちできない、非常に高精度の計測をリアルタイムで行っています。医情報学科では、コウモリが進化の過程で確立した“超”能力を解明し、新しい技術への応用を目指す、とてもユニークな研究を行っています。
ヒューマンインフォマティクス研究室
当研究室では、ヒトのwell-beingを推進することを目指して、それをサポートするための認知神経科学を始めとした基礎研究と、生体情報に基づくヒトの状態推定技術の開発、医療システムの高度化・知的化などの応用研究を行っています。具体的には、MRIやNIRSなどの装置で得られる脳画像計測装置を用いたヒトの認知機能に関する研究、胃部内視鏡画像や角膜内皮細胞画像などの医用画像診断支援を目的とした情報処理技術の研究があります。MRIは2019年度に磁場強度3Tの最新の装置が医情報学科の設備として導入されており、これを活用して研究を進めます。その他、NIRSを活用した自動車の運転中の脳活動計測の研究など、工学的な応用も視野に入れた研究を行います。また、他学科・他学部の研究室や、国内の医療機関との共同研究も幅広く推進しています。
生命物理科学研究室
生命物理科学研究室(オリジナルサイト)
第一回のノーベル物理学賞がレントゲンであったことに象徴されるように、物理学と医学・生命科学は密接な関係を持って発展してきました。近年でも、磁気共鳴映像法(MRI)、粒子線による癌治療、心筋細動除去装置(AED)など、多くの実例があり、自然や生命の原理を追究することが、医学・生命科学の飛躍につながっていることが分かります。これまでに確立されてきた物理学は、エネルギーが保存されているような系や、それへの緩和を調べることが中心でありました。一方、私達の宇宙はビッグバンから始まったように、著しく非平衡の世界です。生物も、エネルギーや物質の絶え間ない流れの下でこそ、その生き物らしさを発揮することができています。このような非平衡開放系を対象とする学問、それが私達の研究です。“生命とは何か?”といった本源的な問題に迫るなかで、医科学・生命科学の基本的課題に取り組みます。医工学科の剣持教授と協同し、国内外の医学・生命科学関係の機関と活発な共同研究を進めています。