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生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻修了生 岡惟月さんらの研究成果が、「Scientific Reports」に掲載されました。
生命医科学研究科 ティッシュエンジニアリング研究室の岡惟月さん(2025年3月修了)らの研究成果が、「Scientific Reports」に掲載されました。
本研究は、ドイツのエアランゲン・ニュルンベルク大学との共同研究による成果です。
フックス角膜内皮ジストロフィ(FECD)は角膜が濁って見えにくくなる目の病気で、現在は角膜移植手術で治療されています。この病気では、角膜の裏側にある内皮細胞が減少し、角膜の裏側に特殊な物質が溜まることで視力が低下します。
岡さんらの研究チームは、コンピューターを使った薬剤スクリーニングという方法で、この病気の治療に効果がある可能性のある薬を探しました。大量の薬の候補から、病気に関わる遺伝子の異常を改善できるものを絞り込みました。
その結果、LDN193189とセルコスポリンという2つの化合物が、病気の細胞で異常に増えている物質の産生を抑え、細胞の中で起こる異常な物質の蓄積も減らすことがわかりました。これらの効果は、将来的に角膜移植の代わりになる新しい治療法につながる可能性があります。
【岡惟月さんのコメント】
本研究は、私が研究室に配属されて最初に取り組んだテーマです。当時、細胞を用いた実験が思うように進まず、試行錯誤の連続でした。しかし、小泉教授や奥村教授をはじめ、研究補助員の方々、面倒見の良い先輩方や同期、後輩からの支えがあり、最後まで取り組むことができました。本研究を通して、周囲を頼りながら粘り強く取り組む力、相手にわかりやすく伝える力を磨くことができたと感じています。本研究成果は、国内外の学会で発表する機会にも恵まれ、この度、論文掲載という形で報告できたことを大変嬉しく思います。
現在、医療機器メーカーにて、臨床検査薬の開発業務に携わっています。研究室で培った経験や知識を活かし、人々の健康を支える一員として活躍できるよう努めてまいります。本研究を進めるにあたりご指導・ご支援くださった全ての皆様に、改めて深く感謝申し上げます。
論文情報
A feasibility of computational drug screening for Fuchs endothelial corneal dystrophy
著者
Itsuki Oka, Yoshiaki Toyokawa, Kouta Imai, Tatsuya Nakagawa, Theofilos Tourtas, Ursula Schlötzer-Schrehardt, Friedrich Kruse, Noriko Koizumi, Naoki Okumura
関連情報
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