医生命システム学科
分子生命分野
神経科学分野
システム生命分野
特別客員教授
西川 喜代孝
職 名 | 教授 |
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主要担当科目(学部) | 生命医科学概論、薬理学、卒業論文Ⅰ・Ⅱ、分子創薬科学 |
主要担当科目(大学院) | 創薬科学特論、創薬科学深論 |
プロフィール
1984年東京大学薬学部薬学科卒業。1989年同大学院博士課程修了。1989-97年慶應義塾大学医学部薬理学教室助手。1995-98年米国ハーバード大学医学部細胞生物(Prof. Lewis C.Cantley)ポスドク。98-2007年国立国際医療センター研究所臨床薬理研究部室長。2002-06年科学技術振興機構さきがけ研究員兼務。2007年4月より同志社大学生命医科学部設置準備室に赴任。2008年4月より同志社大学生命医科学部教授
研究テーマ
- 腸管出血性大腸菌O157やインフルエンザウイルスなどの新興再興感染症に対する治療薬開発。
- 発癌や癌の転移、骨粗鬆症などの各種重要疾患に対する分子標的薬開発。
- O157感染の重症化機構の分子メカニズムの解明。
- ベロ毒素の新たな生理活性に関する研究。
研究の概要
O157感染症はいまだに有効な治療薬のない新興再興感染症の一つです。O157が産生するベロ毒素は、一度に最大15分子の受容体を認識することに より非常に強く標的細胞に結合します。この現象はクラスター効果と呼ばれています。我々は独自の技術を用いて、それ自体がクラスター効果を発揮するベロ 毒素阻害薬を世界にさきがけて開発しました。本阻害薬はO157感染実験において著しい治療癒効果を示すことから、現在最も臨床応用に近い治療薬として 期待されています。クラスター効果を発揮する分子はベロ毒素の他にも、コレラ毒素、各種ウイルスの接着を担う表面蛋白、炎症や癌転移に関与しているセレ クチンなど、いわゆる糖鎖認識分子群ばかりでなく、近年では蛋白質リン酸化酵素などの細胞内情報伝達分子群にも広く認められることが明らかになってきま した。現在これらの分子群に対する特異的阻害薬を開発中であり、各種感染症、炎症、癌、自己免疫疾患等の重要疾患の治療薬となることが期待されます。ま た本研究室では、細胞生物学的、分子生物学的手法を用いて、O157感染症の重症化機構の分子メカニズムの解明やベロ毒素の新たな生理活性に関する研究 など、病態と深く関わる基礎研究も積極的に進めています。
受験生・在学生へのメッセージ
研究は七転八倒の連続ですが、突然霧がはれて一気に解決への道筋がみえることや、想像をはるかに越えた現象に行き当たることがあります。それが単純であればある程、心底美しいと感じます。
高橋 美帆
職 名 | 助教 |
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主要担当科目(学部) | 生物学、細胞生物学、分子生物学実験、医生命基礎実験 |
プロフィール
茨城県つくば市出身。2001年星薬科大学薬学部卒業、星薬科大学大学院薬学研究科薬学専攻博士課程修了。博士(薬学)。
国立国際医療センター研究所臨床薬理研究部流動研究員、同志社大学工学部環境システム学科特別研究員、2008年より同志社大学生命医科学部医生命システム学科助教。
研究テーマ
- 方向性のある細胞内小胞輸送の分子機構の解明。
- 細胞内オルガネラにおける情報伝達機構の解明。
研究の概要
細胞内での小胞による物質輸送はそのルートにより独自の制御を受けています。腸管出血性大腸菌O157が産生するベロ毒素(Shiga toxin: Stx)は、標的細胞上の受容体に結合した後、エンドサイトーシスにより細胞内小胞に取り込まれ、その後ゴルジ体を経由し小胞体へ運ばれます。この輸送経路は通常の分泌タンパク質の輸送とは逆方向であることから逆行輸送経路と呼ばれており、Stxの毒性発現に必須の過程と考えられています。しかしながら本経路が本来持っている生理的な意味、ならびにその詳細なメカニズムについては未だに明らかにされておりません。最近我々は、Stxに対する耐性を指標にこの逆行輸送経路が変異した細胞株を樹立することに成功しました。現在、この細胞株を用いて逆行輸送に必須の役割を果たしている分子群の同定を進めています。またStxの輸送に関して各オルガネラで発生するシグナルについても詳細な検討を行っています。本研究によって、O157感染症治療のための新しい分子標的が同定されると同時に、これまで不明だった逆行輸送経路の生理的な意味が解明されるものと期待されます。
受験生・在学生へのメッセージ
得意な科目も不得意な科目もじっくりと学び、そこから自分の興味を見つけてください。
市川 寛
職 名 | 教授 |
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主要担当科目(学部) | 生命医科学概論、臨床医学概論、人体の構造と機能Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、ヒトの病理と防御システムⅠ・Ⅱ、機能性食品医学、内科学概論 |
主要担当科目(大学院) | 機能性食品医学特論、機能性食品医学深論 |
プロフィール
1958年8月大阪市生まれ大阪育ち。大阪教育大学教育学部附属高等学校天王寺校舎出身。1984年京都府立医科大学卒業後、医師免許を取得。京都府下の関連病院を渡り歩きながら、消化器内科学を専攻するとともに、1994年より米国ルイジアナ州立大学メディカルセンターで3年間研究しました。2003年よりいったん臨床医学を離れ、臨床栄養学を中心に、管理栄養士の養成に尽力しました。2008年4月より同志社大学生命医科学部教授。日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本内科学会認定内科医、日本病態栄養学会認定病態栄養指導医、日本抗加齢医学会専門医などの資格があります。高校の時から硬式野球部で、阪神タイガースファンです。
研究テーマ
酸化ストレスが関与する各種病態における抗酸化物質、食品因子の治療及び予防効果に関する研究
研究の概要
専門の消化器疾患以外に,癌、動脈硬化、糖尿病,アレルギー疾患などの病態を、酸化ストレスと炎症の観点より研究しています。また,様々な疾患動物モデルを用いることにより,機能性アミノ酸や機能性ペプチド,抗酸化食品による疾病,老化予防の効果を明らかにしようとしています。さらに,食品添加物や環境ホルモンの生体に対する毒性について,ミトコンドリアの機能異常の立場から研究を進めています。
受験生・在学生へのメッセージ
臨床の医師として、癌の末期患者とその家族に20年以上現場で接してきたからこそ、従来の治療方法では対処できない近代的西洋医学の限界を感じています。医療の専門化と細分化が進み、病気しか診ない医師主導の医療制度が続けば、いつか日本の医療は崩壊します。人を病気、臓器、部分で見るのではなく、“全人的”に見ること、さらには“病んだ人”に直面したとき、いついかなる場合にも、患者個人の“生命の質“の向上をはかるために努力できる医療人が、今求められています。医師、看護師などの医療従事者と同等、もしくはそれ以上の専門的知識が要求されますが、多様な学問との融合をはかりながら基礎医学と専門科目とが学べる本学生命医科学部は、将来の医療に多角的に貢献できる人材を輩出するのに、最適な環境を提供してくれるものと信じています。
米井 嘉一
職 名 | 教授 |
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主要担当科目(学部) | 生命医科学概論、公衆衛生学、臨床医学概論、ヒトの病理と防御システムⅠ・Ⅱ、アンチエイジング |
主要担当科目(大学院) | アンチエイジング特論、アンチエイジング深論 |
関連HP | アンチエイジングリサーチセンター/糖化ストレス研究センター(オリジナルサイト) |
プロフィール
1958年生、1982年 慶応義塾大学医学部卒、内科医師・医学博士。2000年総合病院では全国で初めてとなる「老化度判定ドック(アンチエイジングドック)」を日本鋼管病院に開設。2005年日本初の抗加齢医学の研究講座である同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授として、抗加齢医学を日本に紹介。日本抗加齢医学会理事として抗加齢医学の発展、普及、海外との交流に努める。老化危険因子の一つである糖化ストレスおよび抗糖化物質に関する研究に従事。主な著書に、「抗加齢医学入門」「アンチエイジングのすすめ」「老化と寿命のしくみ」「陰陽五行による癒しの音楽」などがある。
研究テーマ
抗加齢医学(アンチエイジング医学)における糖化ストレスに関する研究。
研究の概要
本研究室では加齢と疾病との相関関係の解明をはじめ、老化度の診断や治療法の開発とともに、抗加齢医学に基づいた健康食品、化粧品などの臨床試験も行っている。実験室では、老化を促進する危険因子として糖化ストレスに注目、糖化最終産物(AGEs)など糖化ストレスマーカーの測定法確立、食品中のAGEs生成抑制物質の探索、AGEs分解酵素やプロテオソーム活性化物質の探索、AGEsに起因するマクロファージ活性化や炎症発症機構の研究を行っている。これらの活動を通じて抗加齢医学の普及・発展に力を注いでいる。
研究内容
受験生・在学生へのメッセージ
日本国民の健康増進に役立つため学問を学び、将来の仕事や研究に活かして欲しい。
舟本 聡
職 名 | 教授 |
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主要担当科目(学部) | 生命医科学概論、医生命基礎実験、分子生物学実験、分子生物学Ⅰ・Ⅱ |
主要担当科目(大学院) | 遺伝子工学特論、遺伝子工学深論 |
プロフィール
1969年、北海道に生まれました。大学院卒業(北大大学院理学生物)までずっと道民として暮らしていましたが、移民として米国にしばらく移住する決心をしました。それ以来、いろんな人に助けられながら研究に没頭する毎日です。みなさんに感謝しています。日本学術振興会特別研究員、カリフォルニア大学分子遺伝学センター研究員、東大医学部助手を経て、本学生命医科学部設置準備室に赴任。2008年より生命医科学部准教授。2024年より生命医科学部教授。学研都市キャンパス快風館と京田辺キャンパス医心館で教育・研究に従事しています。
研究テーマ
アミロイドβタンパク質の産生機構、ガンマセクレターゼの活性制御機構
研究の概要
アルツハイマー病の原因物質と考えられているアミロイドβタンパク質(Aβ)を作らないようにする方法を探しています。そのためにはAβができるしくみを理解する必要があります。国内外の研究のおかげでいろいろ分かってきましたが、まだ知らないことが一杯です。どんなふうにAβができるのか生化学や細胞生物学という学問分野を利用して解明しようとしています。
Aβをつくる酵素の一つにガンマセクレターゼというタンパク質複合体が知られています。でも、これは本来アルツハイマー病を引き起こすために存在している訳ではありません。実はこの酵素、いろんな生物の生存や発生に重大な役割を果たしていることが分かってきました。この酵素がどのように活性を上げるかまたは下げるかを研究しています。
受験生・在学生へのメッセージ
近年、生物系の学部・大学院研究科がいろいろな大学で開設されています。これはこの分野の研究が脚光をあびて、その人材育成が期待されていることの証です。ぜひ、私たち教員と一緒に研究に参加してみませんか。
角田 伸人
職 名 | 准教授 |
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主要担当科目(学部) | 生物学、人体の構造と機能Ⅱ・Ⅲ |
プロフィール
1976年新潟県生まれ。国立長岡工業高等専門学校工業化学科から東京工業大学生命理工学部生物工学科へ進学、2001年同大大学院生命理工学研究科修士課程修了、2005年東京大学大学院医学系研究科博士課程単位取得退学、2005年-2011年株式会社免疫生物研究所、2011年-2013年同志社大学にて特任研究員、2013年東京大学において博士(医学)取得。2013年-2015年ベルギー王国ルーベン大学留学を経て、2015年4月より同志社大学生命医科学部助教、2024年4月より同志社大学生命医科学部准教授。
研究テーマ
アルツハイマー病おける脳内ガンマセクレターゼ活性変化の機構解明
研究の概要
これまで多くの研究から、アルツハイマー病はアミロイドβタンパク質(Aβ)が脳内へ蓄積することによって発症すると考えられています。このAβは、代謝産物として健常人の脳内でも産生されています。一方、アルツハイマー病の患者脳内では、Aβを産生するガンマセクレターゼという酵素の活性が変化していることがわかりました。この変化が脳内の蓄積に関与している可能性が高く、変化した原因を明らかにすることに取り組んでいます。
受験生・在学生へのメッセージ
生命系という学問領域だけでも多岐に渡っています。そのなかで自分の興味を深めていきたい分野を探すためにも、同志社大学の教育・研究環境を活用して広く学び、見つけて行ってください。
池川 雅哉
職 名 | 教授 |
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主要担当科目(学部) | 人体の構造と機能Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、神経情報伝達制御学 |
主要担当科目(大学院) | 神経情報伝達制御学特論 |
プロフィール
1961年、大阪府堺市生まれ。大阪府立三国丘高校から京都大学医学部医学科へ進学、同卒業。京都大学医学部附属病院、市立舞鶴市民病院にて内科医勤務、1990年~92年、第32次南極地域観測隊あすか基地越冬随行医師として南極観測事業に参加。帰国後、京都大学医学部衛生学教室にて医学博士取得、また1994年から10年間、法務省京都拘置所医務官として勤務、この間、京都大学大学院医学研究科分子生物学研修員として生化学、分子生物学の研鑽を積み、2004年、京都府立医科大学大学院医学研究科分子医科学部門ゲノム医科学教室助教授(現准教授)へ転出。2010年から同志社大学生命医科学部連携教授の称号を付与され、2013年より同志社大学生命医科学部教授。
研究テーマ
ゲノミクス・プロテオミクス・メタボロミクスを用いた生体機能分子の研究。
研究の概要
専門は、生化学、ゲノム医科学。1996年、自ら参加した南極観測越冬隊において、医師として隊員の健康管理に従事すると同時に、持ち帰った南極雪に含まれる超微量元素濃度を ICP質量分析計を用いて分析し、地球環境規模での大気循環や物質移動についての論文を発表しました。これを研究の出発点として、環境医学から分子生物学に進み、1998年、単塩基多型(SNPs)と疾患表現型との関連をタンパク質レベルで考察する疾患ゲノム解析の例として、日本人HIV感染者の血清中SDF-1タンパク質濃度とAIDS発症の関連性を見出しました。2006年、発生遺伝学的手法を用いて分泌型タンパク質SFRP2がマウスの四肢形態形成に果たす役割を解明しました。2009年、質量分析計を用いた胆汁酸の定量法とマスイメージング法の開発、2011年、脳脊髄液中タンパク質・ペプチドのプロテオミクスパターン解析によって、神経難病の多発性硬化症と類縁疾患の一つである視神経脊髄炎を鑑別する方法、さらに2012年に、パーキンソン病と多系統委縮症を鑑別する方法を開発しました。現在、神経疾患をはじめ、癌、自己免疫疾患、代謝性疾患を対象としたヒト・プロテオミクス解析や、モデル動物のプロテオミクス解析を行っています。今後も、質量分析法をはじめとした新しい解析法を開発し、細胞や組織における生体分子の構造や機能を明らかにし、病気の治療や予防に役立てたいと思います。
受験生・在学生へのメッセージ
さあ、大いなる夢をもって、生命現象の神秘にふれる新たな船出に参加しましょう。
Brave New World of genomics and proteomics !
山下 修司
職 名 | 助教 |
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主要担当科目(学部) | 生物学、生化学、人体の構造と機能 |
主要担当科目(大学院) |
プロフィール
1993年埼玉県新座市生まれ。2017年信州大学繊維学部化学・材料系卒業、2019年東京大学大学院理学系研究科化学専攻修士課程修了、2022年東京大学大学院理学系研究科化学専攻博士課程修了、博士(理学)。2022年産業技術総合研究所計量標準総合センター物質計測標準研究部門入所、2023年より現職。
研究テーマ
質量分析法による生体物質のイメージング技術の開発と生命医科学への応用
研究の概要
生命は様々な化学物質から構成されており、これらの化学物質の相互作用によって生命体の恒常性が維持されています。生体内に存在する化学物質のなかでも主に金属元素とタンパク質に着目し、質量分析法によるイメージング分析(生体中に存在する化学物質の分布を可視化)を行なっています。
「肉眼で見えないものを見たい!」というシンプルなモチベーションのもと、分析技術の開発と得られた各物質の情報を統合することで、物質的観点による生命現象の解明や医学への応用を目指しています。
受験生・在学生へのメッセージ
失敗できるのは学生の特権です!
失敗を恐れずに様々なことに挑戦してください!
齋藤 直人
職 名 | 准教授 |
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主要担当科目(学部) | 医生命基礎実験、分子生物学実験、人体の構造と機能 実験、細胞生物学 |
主要担当科目(大学院) | シナプス機能生物学特論 |
プロフィール
1969年東京生まれ。神奈川桐蔭学園高等学校卒業。埼玉大学理学部生化学科卒業。東京大学大学院農学生命科学科修了。東京大学医学部第一薬理学教室研究員。東京大学医学系研究科神経生理学研究員。同助手。同特任講師。2008年より同志社大学生命医科学部専任講師、2010年より同志社大学生命医科学部准教授。 日本神経科学会会員。
研究テーマ
神経機能を司る、細胞分子メカニズムの解析
研究の概要
神経細胞は電気信号を処理することが出来ますが、神経細胞同士の連絡には化学信号を利用しています。この化学信号と電気信号の相互変換を行う場所を(化学)シナプスと呼びます。この変換システムや電気信号処理は、様々な細胞分子がそれぞれの役割を全うすることで成り立っていると考えられます。そのような細胞分子の時空間的な動態を解析することで、神経機能を発揮する際の細胞分子メカニズムの一端を紐解くことができるものと考え、研究を行っています。また、様々な脳疾患では上記の変換システムや電気信号処理に関わる細胞分子にも異常が生じていると考えられ、その際の細胞応答メカニズムにも着目しています。
研究内容
受験生・在学生へのメッセージ
医生命システム学科では、様々なレベルで医学に貢献する研究を行っていますが、私の研究テーマは基礎研究にあたるものです。基礎研究の考え方や面白さを是非分かち合いましょう。
西川 恵三
職 名 | 教授 |
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主要担当科目(学部) | 細胞生物学II、生化学、生命医科学概論、医生命基礎実験、人体の構造と機能I・II・III |
主要担当科目(大学院) | 免疫代謝学特論 |
プロフィール
1975年福井市生まれ。東京工業大学理学部化学科卒業、筑波大学大学院医科学研究科修士課程修了、筑波大学大学院人間総合科学研究科博士課程修了、博士(医学)。日本学術振興会特別研究員、東京医科歯科大学研究員、医薬基盤研究所研究員、大阪大学免疫学フロンティア研究センター助教、同准教授を経て、現職。日本骨代謝学会 評議員・広報委員、日本生化学会 評議員、日本薬理学会 学術評議員・薬理学エデュケーター、MCB Editorial Board member。
研究テーマ
- 骨代謝制御にかかわる代謝エピジェネティクス研究
- ロコモティブ症候群の予防・健康寿命の延伸を目指した食品科学研究
- 二光子励起顕微鏡を用いた生体内代謝動態・力覚イメージング研究
研究の概要
細胞を取り巻く生体微小環境は、細胞の特性を決める重要な役割があります。本研究室では、微小環境を構成する要素のなかでも栄養因子(酸素やアミノ酸など)に注目し、生体内栄養環境と細胞の運命決定をつなぐ代謝性制御の解明に取り組みます。また、当該知見をもとに、栄養・代謝状態に摂動をもたらす食品・天然化合物を同定することで、運動器疾患に対する新規予防・治療法の確立を目指します。
受験生・在学生へのメッセージ
大学生活において、何事でも構いませんので、万里一空の努力を持って成し遂げることを経験してください。
野口 範子
職 名 | 教授 |
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主要担当科目(学部) | 生命医科学概論、システム生物科学、バイオマーカー解析学 |
主要担当科目(大学院) | システム生物科学特論、バイオテクノロジー特論、システム生物科学深論 |
関連HP | システム生命科学研究室(オリジナルサイト) |
プロフィール
京都で生まれ、1977年京都市立堀川高等学校を卒業するまで京都市内で暮らす。1981年筑波大学第二学群生物学類卒業、1983年筑波大学大学院医科学研究科修士課程(医科学修士)、1987年筑波大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士)。1987年帝京大学医学部助手、1990年 National Institute of Standards and Technology (U.S.A.) 客員研究員、1991年東京大学工学部助手、1993年東京大学先端科学技術研究センター助手、2002年同センター特任助教授、2005年同センター特任教授と同志社大学工学部教授を兼務。2008年より同志社大学生命医科学部教授。
研究テーマ
酸化ストレスと遺伝子発現制御による適応反応機構
研究の概要
われわれヒトを含め地球上の生物は、酸素を利用して大きな繁栄を成し遂げてきました。これを成功させるためには、酸化傷害に対する防御機構を構築することが必須でした。なぜならば、細胞が生理機能を維持するために酸素を利用する過程で、必ず活性酸素やフリーラジカルが生じ、これらが生体の重要な分子を酸化して傷害するからです。
これに対して生体は、活性酸素の産生を最小限に抑制し、あるいは生体分子が攻撃される前に活性酸素を捕捉して酸化傷害を抑制するなど、いわゆる抗酸化機構を保持しています。抗酸化はビタミンなどの低分子物質が担うほかに、様々な酵素がその役割を果たしています。生体は酸化ストレスにさらされると、遺伝子誘導を介して抗酸化酵素を増加させ、自らを守ろうとします。さらに、生体は修復機構も備えており、酸化傷害から幾重にも防御されているのです。
一方、活性酸素やフリーラジカルは生体に傷害を与えるだけのものではありません。細胞への刺激に対して、遺伝子発現などの応答を導くための、細胞内情報伝達に重要な役割を果たしていることが最近明らかにされてきました。環境から受け取った刺激に対して、生体が適切な応答を行い、環境へ適応していくために重要な分子でもあるのです。
システム生命科学研究室では、生体が環境への適応を成功させるために必要な、センサーとシグナル分子を明らかにして、神経変性疾患や心血管疾患の予防・治療に貢献できるよう研究を展開していきます。
研究内容
「生活習慣病の予防に貢献~活性酸素が生体に及ぼすメカニズムを解明~」
(リエゾンニューズレターvol.12)[PDF 114KB]
「京田辺校地に吹く新しい風~新学部の現在・未来~」
(One purpose NO.157)[PDF 1.6MB]
受験生・在学生へのメッセージ
学生の頃は自分がどこへ向かっていくのか、何ができるのか、何になれるのか、わからずに不安がいっぱいかもしれませんね。私はそうでした。漠然としていていいから、思い描く自分の将来の姿や夢に近づくためのレールを自分なりに敷いてみてください。そして、そこからぜったい降りない、と自分を激励してください。あきらめないでください。でも、自分が敷いたレールですから修正はいつでも可能です。こうでなくてはならないなんてことはないんです。いろんな可能性を秘めた皆さんと一緒に勉強して研究できるのを楽しみにして待っています。
浦野 泰臣
職 名 | 教授 |
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主要担当科目(学部) | 生物学、医生命基礎実験、分子生物学実験、細胞生物学 |
研究室HP | システム生命科学研究室(オリジナルサイト) |
プロフィール
1975年東京都世田谷区生まれ。千葉大学薬学部卒、千葉大学大学院薬学研究科博士前期課程修了、久光製薬株式会社を経て、2004年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を経て、2005年より米国Dartmouth大学にてResearch Associate。2009年4月より同志社大学生命医科学部助教、2018年4月より同志社大学生命医科学部准教授、2024年4月より同志社大学生命医科学部教授。
研究テーマ
神経変性疾患における脂質代謝の関与について
研究の概要
脂質、特にコレステロールは、生体膜の安定やステロイドホルモンの原料になるなど生命現象に関わる重要な化合物です。一方で過剰なコレステロールの蓄積は高脂血症や動脈硬化などの病気を引き起こす危険因子ともなります。最近の研究ではアルツハイマー病などの神経変性疾患に対するコレステロールの関与が示唆されています。またコレステロールは酸化を受け、酸化コレステロールとなりますが、酸化コレステロールも多くの生理的な作用を持つことが知られています。これらの点からコレステロール代謝のメカニズムを理解することの重要性が注目されています。私はこのコレステロール代謝と神経変性疾患との関わりについて、生化学的、分子生物学的手法を用いて研究を進めています。
受験生・在学生へのメッセージ
大学とは自分の興味があるところを見つけ、それを深く勉強していけるチャンスを与えられる場所だと思います。好奇心を持つこと、そしてそれを探求することが、自分らしさ、個性へとつながっていくと思います。皆さんの好奇心を刺激できる日を楽しみにしています。
三田 雄一郎
職 名 | 准教授 |
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主要担当科目(学部) | 生体物質分析化学、ビジネスワークショップ |
プロフィール
1980年京都府の海沿い生まれ。群馬大学工学部卒業、京都府立大学大学院農学研究科博士前期課程修了、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科博士課程修了(博士(医学))。京都府立医科大学医学部博士研究員、同志社大学研究開発推進機構特別研究員、宮崎大学医学部特任助教を経て現職。
研究テーマ
- 糖尿病発症メカニズムの解析
- noncoding RNAによる翻訳制御
研究の概要
生体に必須の微量元素であるセレンは酸化ストレス防御、甲状腺機能の維持など多くの機能を担っています。セレンは不足すると癌の発症リスクの増加や心筋症が起こるのに対し、過剰になると糖尿病の発症リスクが増加することが知られています。
このセレンはセレノプロテインP(SeP)というタンパク質で全身に運ばれています。SePはもともとセレン運搬タンパク質として研究が進められていましたが、糖尿病患者では血液中のSePが増えることやSePが糖尿病を悪化させる因子である事が分かってきています。しかし、なぜ糖尿病で増えるのか?どうやって糖尿病を悪化させるのか?どうしたらSePを減らすことができるのか?といった多くの謎が残されています。こういった疑問に対する回答を探し出し、糖尿病の原因の探索や新たな糖尿病の治療法を作ることを目指しています。
受験生・在学生へのメッセージ
コインに裏表があるように1つの物事を様々な視点から見てみると、今まで感じていたものと違った風景が見えてくることがよくあります。多くのことにチャレンジし、多くのことに触れて、多くのことを考えてみてください。そうすれば、今と違った本当の意味での「自分らしい考え方」が見つかるかもしれません。
小林 聡
職 名 | 教授 |
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主要担当科目(学部) | 生命医科学概論、医生命基礎実験、ケミカルバイオロジー、ストレス適応科学 |
主要担当科目(大学院) | ストレス応答解析学特論、ストレス応答解析学深論 |
関連HP | 遺伝情報研究室(オリジナルサイト) |
プロフィール
1967年仙台市生まれ。仙台第二高等学校卒業。早稲田大学理工学部化学科卒業後、東北大学大学院理学研究科化学専攻修了、博士(理学)。その間、日本学術振興会特別研究員を併任。学位取得後、東北大学大学院医学系研究科助手、筑波大学TARAセンター講師、東北大学大学院医学研究科講師、同准教授を経て、現職。日本分子生物学会、日本生化学会、日本癌学会会員。
研究テーマ
ストレス応答機構の破綻によるガンや神経変性疾患の発症メカニズムの解明
研究の概要
生命現象の根幹は、遺伝子発現が担っているといっても過言ではありません。たとえば酸化ストレスなどの有害なストレスに対して、生体は防御遺伝子を強力に誘導することで恒常性を維持しています(ホメオスタシス)。このストレス応答機構が破綻するとDNAやタンパク質などの生体物質が障害を受け、ガンや神経変性疾患などの様々な病態をもたらします。これまでに私たちは、ストレス応答に関わる転写因子NRF3を世界に先駆けて発見してきました(Kobayashi A (1999) J Biol Chem)。最近の研究から、NRF3は様々なヒトのガンにおいて高頻度に変異を受けている127遺伝子の1つにあげられており、NRF3とガン発症の関連が強く示唆されていました(Kandoth C (2013) Nature)。その仮説を支持するように、私たちはNRF3が大腸ガン細胞の増殖と生存に関わることを見出し、現在NRF3を抗癌剤のターゲットにする特許を出願中です(和久ら (2016))。今後は、分子生物学的手法や遺伝子改変マウスを用いた生体レベルの解析法を駆使して、NRF3が形成する遺伝子発現ネットワークによるガン発症機構の全容を解明し、その知見を臨床につなげたいと考えています。
受験生・在学生へのメッセージ
大学における研究とは、高校までの受動的な勉強とは異なり、世界で誰も知ることのない生命のメカニズムを、好奇心の赴くまま、自立的に解き明かす大変魅力的なものです。ぜひとも、人生の中で自由度の最も高い大学生活を無駄にせず、バイトやサークル活動などを通して交友を深めつつ、幅広い教養を身につけた研究者として成長してください。
和久 剛
職 名 | 准教授 |
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主要担当科目(学部) | 生物学、分子生物学実験、医生命基礎実験 |
関連HP | 遺伝情報研究室(オリジナルサイト) |
プロフィール
1980年北海道北見市生まれ。北見柏陽高校卒業。近畿大学生物理工学部卒業後、神戸大大学院医学系研究科修士課程、大阪大学大学院理学研究科博士後期課程を修了、博士(理学)。学位取得後、大阪大学タンパク質研究所、筑波大TARAセンター、東京大学大学院薬学系研究科で博士研究員となる。その間、日本学術振興会特別研究員を併任し、現職。日本分子生物学会、日本生化学会会員。
研究テーマ
- 幹細胞・初期胚の組織・臓器分化過程におけるストレス(分化刺激)応答性タンパク質品質管理機構の解明
- 転写因子Nrf1/3を介したストレス(刺激)特異的なタンパク質品質管理機構の網羅的解析
研究の概要
生命の基本原理(生物学セントラルドグマ)は、『DNAからRNAの転写』、『RNAからタンパク質の翻訳』、及び『タンパク質による生体物質の代謝』という3つの機構から構成されています。この生物学セントラルドグマは、性ホルモンに代表される脂溶性代謝物の分化・成長シグナルや低酸素などの外環境ストレスにより微調整されており、その破綻は様々な疾患の発症につながると考えられています。これまで私は、脂溶性代謝物がどのように転写を制御しているのかを、X線結晶構造や次世代シーケンサー、疾患モデルマウスを用いて解析してきました。その結果、神経伝達物質と肥満との関わりを見出し、また糸球体硬化症に対する新たな薬剤候補の設計に成功しました。さらに、グルコース(糖)に応答する転写因子がタンパク質翻訳を制御することで細胞の生死を決定していることを明らかにしつつあります。一方で医生命システム学科遺伝情報研究室では、活性酸素をはじめとするストレスに応答する転写因子Nrf1がタンパク質分解を制御し、その破綻は神経変性疾患に関与することを見出しています。ストレスはガンや老化などにも密接に関与していることから、私は今後、Nrfを足掛かりとして『ストレスに対する生物学セントラルドグマ調節機構』の全容を解明することで、アルツハイマー病や他の関連疾患治療の新機軸創出へと応用していきたいと考えています。
受験生・在学生へのメッセージ
生命科学部では実践的な臨床応用から基礎的な医生物学まで幅広い研究を行っていますが、『研究対象をよく観察し仮説を立て、実験で実証し結果を考察する』という基本姿勢は共通しています。このような考え方は、研究活動だけでなく就職活動や職場など今後の人生の様々な場面において、とても役に立つスキルです。この科学的思考力を身につけ実行するには、自分で考え行動することが最も重要です。そのためにもまず受験・学生生活の中の色々なことに積極的に取り組んでみて下さい。
祝迫 惠子
職 名 | 教授 |
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主要担当科目(学部) | 臨床医学概論、サイエンス・ナウ、生命医科学概論、遺伝情報医学(病態生理学) 、 外科学概論(病態生理学) 、生命医科学概論 |
プロフィール
1968年兵庫県生まれ。神戸高校卒業。1990年神戸薬科大学卒業後、武田薬品工業(株)研究所を経て、1993年浜松医科大学入学。1999年医師免許取得後、京都大学医学部附属病院、大阪赤十字病院にて外科医として修練を積み、2004年京都大学大学院医学研究科博士課程に進学。2008年学位取得、2008-2011年カリフォルニア大学サンディエゴ校博士研究員、2012年大阪市立大学助教、2013年京都大学特定講師を経て2018年より現職。
研究テーマ
- 肝臓の線維化抑制と再生促進
- 肝癌の治療法開発
- 臓器移植における免疫制御
研究の概要
肝線維化や肝癌の病態メカニズムの解明と治療法開発を目標として、細胞や動物モデル、臨床検体を用いて研究を行っています。また、臓器移植について、マウスの移植モデルを用いて、拒絶反応の解析とその制御に取り組んでいます。
受験生・在学生へのメッセージ
実験的方法と論理的思考で生命現象や疾病を理解し、新たな治療法開発を目指して研究を進めています。
元村 有希子
職 名 | 特別客員教授 |
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主要担当科目(学部) | 科学技術概論Ⅰ、サイエンスライティング、サイエンス・ナウ3、サイエンス・ナウ7、アウトリーチ実習、取材・インタビュー実践講座 |
主要担当科目(大学院) | サイエンスコミュニケーション特論Ⅰ、Ⅱ |
プロフィール
福岡県北九州市生まれ。九州大学教育学部で臨床心理学を学び、1989年、毎日新聞社に入社。北九州市、下関市、福岡市で新聞記者としての経験を積む。2001年、東京本社科学環境部に配属となり、地震・火山(東日本大震災)、ノーベル賞、科学技術政策、宇宙開発、生命科学など多様なテーマを取材。リーダーとして手がけた長期連載「理系白書」の報道で2006年の第一回科学ジャーナリスト大賞を受賞。07~08年、サイエンスコミュニケーション研究のため英インペリアルカレッジに社命留学。科学環境部長などを経て19年論説委員、21年論説副委員長。24年春から現職。「科学と社会をつなぐ」活動をライフワークとし、授業や講演、シンポジウム、サイエンスカフェ主宰、メディア出演など多数。主な著書に「気になる科学」「科学のミカタ」「科学のトリセツ」「科学目線」(毎日新聞出版)「カガク力を強くする!」(岩波ジュニア新書)など。高エネルギー加速器研究機構(KEK)理事、九州大学経営協議会委員、日本科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ)理事。趣味は山歩き、温泉、居酒屋巡り、数独。
研究テーマ
- サイエンスコミュニケーションの理論と実践
- 科学と社会をつなぐサイエンスジャーナリズムの実践
- 科学技術とジェンダー
研究の概要
C.P.スノーが1950年代に指摘した「二つの文化(The two cultures)」の対立は、科学と社会、科学と政治、また科学の各分野の間において今も存在します。国内では原子力利用や「核のごみ」処分をめぐる混乱、生成AIの利用と誤情報の問題などがその典型です。地球規模で俯瞰すれば、温暖化の進行に伴う災害や紛争、希少資源の争奪、過度な開発に起因する新興感染症の世界的流行などが挙げられます。こうした「科学に問うことはできるが、科学だけでは答えられない=トランス・サイエンス的課題」に対して思考停止せず向き合える社会を目指し、サイエンスコミュニケーションの手法を探っています。メディアがこの営みに果たせる役割と課題についても研究しています。
受験生・在学生へのメッセージ
高校生までは医師、大学時代はカウンセラーを目指しながら新聞記者となり、科学を取材する機会を与えられたことがきっかけで大学の教員になりました。「なりたいもの」は移り変わりましたが、「人と関わりながら社会を変えていく」ことに夢中で取り組んでいます。感受性豊かな学生時代に、たくさん学び、人と出会い、悩んで迷って欲張って、豊かな人生の基礎を築いてください。