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生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻修了生 中川達也さんらの研究成果が、「Investigative Ophthalmology & Visual Science」に掲載されました。
生命医科学研究科 ティッシュエンジニアリング研究室の中川達也さん(2023年3月修了)らの研究成果が、Investigative Ophthalmology & Visual Scienceに掲載されました。
本研究は、国内外の複数の研究機関と協力して実施されました。研究グループは、同志社大学に加え、日本の京都府立医科大学、ドイツのエアランゲン・ニュルンベルク大学、インドのSankara Nethralaya病院、そしてイギリスのカーディフ大学の共同研究者で構成されていました。
フックス角膜内皮ジストロフィ(FECD)は、角膜内皮細胞の細胞死や細胞外マトリックスの異常蓄積を特徴とする進行性の疾患であり、転写因子であるTCF4遺伝子イントロン内の異常な繰返し伸長が主な遺伝的リスク因子とされています。本研究では、TCF4遺伝子の役割を詳しく調べるため、FECD患者由来の細胞を用いてCRISPR/Cas9によりTCF4をノックアウトし、プロテオーム解析を行いました。
研究の結果、TCF4ノックアウトにより、細胞外マトリックス関連経路や酸化ストレス応答のタンパク質発現が変化することが明らかになりました。さらに変性タンパク質の蓄積や細胞死が抑制されることが明らかになりました。これまでにFECDの遺伝子レベルでの網羅的解析は我々を含む研究グループから複数の報告がありますが、タンパク質レベルでの網羅的解析は初めてです。本成果は、FECDの病態解明や治療標的の特定に有用な知見となります。
【中川達也さんのコメント】
本研究は、国内外の多くの共同研究者の協力のもとで進められたプロジェクトです。皆様に心より感謝申し上げます。私は研究室に配属されてから、このテーマを先生から与えていただいた時のことを今でも鮮明に覚えています。当時、海外の研究者の方々と英語でコミュニケーションを重ねながら進めた経験は非常に貴重なものでした。この経験を通じて、科学的な議論の大切さや研究を進める上での国際的な協力の意義を実感しました。
現在の仕事ではゲノム解析に関連する分野で働いており、大学院での研究経験がその基礎となっています。特に、オミクス解析の知識やデータを科学的に解釈する力は、現職において大いに役立っています。今後も、ゲノムを通じて、医療や生命科学の発展に貢献できるよう努めたいと考えています。

本研究の詳細な内容は、以下をご覧ください。
タイトル
The TCF4 gene regulates apoptosis of corneal endothelial cells in Fuchs endothelial corneal dystrophy
著者
Tatsuya Nakagawa, Tetsuro Honda, Taichi Yuasa, Go Nishiuchi, Masakazu Sato, Ayumi Tokunaga, Makiko Nakahara, Theofilos Tourtas, Ursula Schlötzer-Schrehardt, Friedrich Kruse, Prema Padmanabhan, Amit Chatterjee, Gajanan Sathe, Vivek Ghose, Narayanan Janakiraman, Derek J. Blake, Noriko Koizumi, Sailaja Elchuri, Naoki Okumura
関連情報
お問い合わせ |
生命医科学部・生命医科学研究科事務室 TEL:0774-65-6020
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