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生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻修了生 大西貴子さんらの研究成果が、「Investigative Ophthalmology & Visual Science」に掲載されました。

2025年9月1日 更新

生命医科学研究科 ティッシュエンジニアリング研究室の大西貴子さん(2021年3月修了)らの研究成果が、「Investigative Ophthalmology & Visual Science」に掲載されました。

このたび、本学の研究グループは、角膜移植の原因の約40%を占める眼疾患であるフックス角膜内皮ジストロフィ(FECD)において、細胞死を防ぐ新たな治療標的を初めて発見しました。本研究は、Erlangen大学(ドイツ)との共同研究による成果です。

FECDは、角膜内皮細胞が徐々に減少し、角膜が白く濁ることで視力が低下する病気です。現在、重症例に対する治療法は角膜移植しかありませんが、ドナー不足が世界的な問題となっています。

研究グループは、FECD患者由来の細胞と複数の実験モデルを用いて、細胞内ストレスによる細胞死のメカニズムを解析しました。その結果、「p38 MAPK」というタンパク質が、細胞のストレス応答から細胞死に至る過程で重要な「分子スイッチ」として働いていることを発見しました。さらに、p38 MAPKの働きを阻害する薬剤により、角膜内皮細胞の細胞死を防ぐことに成功しました。今回の研究成果は、FECDの病態メカニズムの解明に貢献するだけでなく、角膜移植に代わる新たな薬物治療の開発につながる重要な発見であると考えています。

生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻修了生 大西貴子さんらの研究成果が、「Investigative Ophthalmology & Visual Science」に掲載されました。 (117676)

【大西貴子さんのコメント】

FECDは角膜移植を必要とする主要な原因疾患でありながら、その病態メカニズムには不明な点が多く残されていました。特に、細胞内のストレスがどのようにして細胞死へと至るのか、その分子経路の解明は長年の課題でした。本研究では、p38 MAPKというタンパク質が、ストレス応答から細胞死への重要な「分子スイッチ」として機能していることを明らかにしました。

最も印象的だったのは、複数の異なる実験モデルすべてにおいて、p38 MAPKの阻害が一貫して細胞保護効果を示したことです。基礎研究では、一つの発見が本当に意味を持つのか、常に慎重な検証が必要ですが、今回の結果は非常に再現性が高く、将来の治療応用への確かな手応えを感じることができました。

本研究の成果は、新しい治療薬の開発に繋がり、患者さんへの恩恵をもたらす可能性があります。基礎研究が臨床応用へとつながる道筋を示せたことは、大きな喜びです。

本研究の詳細な内容は、以下をご覧ください。

タイトル

The PERK-p38 MAPK Axis Drives Endoplasmic Reticulum Stress-Induced Apoptosis in Fuchs Endothelial Corneal Dystrophy

著者

Takako Onishi, Taichi Yuasa, Naoyuki Ueda, Keita Miyadai, Theofilos Tourtas, Ursula Schlötzer-Schrehardt, Friedrich Kruse, Noriko Koizumi, and Naoki Okumura


関連情報

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40856649/

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