2023年2月9日～11日にパシフィコ横浜にて開催された角膜カンファランス2023において、上田瑞希さん（ティッシュエンジニアリング研究室）が優秀ポスター賞（北野賞）を受賞しました。

角膜カンファランスは、角膜を専門とする眼科医・研究者からなる日本角膜学会・日本角膜移植学会の年次総会であり、北野賞は生理・生化学に関する基礎および応用研究において優れた研究に対して日本角膜学会から授与される名誉ある賞です。

フックス角膜内皮ジストロフィは、世界で最も多い角膜内皮疾患ですが、角膜移植以外に治療法がありません。多くの患者でTCF4遺伝子のCTG繰り返し配列の伸長を認めることから、疾患の重要な遺伝子変異として注目されています。本研究では、大阪大学の伊川正人教授との共同研究により、繰り返し配列を有する遺伝子改変マウスを作製し、RNA-Seq解析により遺伝子発現への影響を検討しました。その結果、このマウスにおいて、フックス角膜内皮ジストロフィの患者さんの臨床的特徴である細胞外マトリックスの制御に関する遺伝子等に変動が見られました。今後、このマウスがフックス角膜ジストロフィの疾患モデル動物として、病態の解明や治療薬の開発に役立つことが期待されます。

【上田瑞希さんの受賞コメント】
この度は大変栄誉ある賞をいただき光栄に思います。日々ご指導いただき、素晴らしい研究環境を与えてくださった小泉先生、奥村先生をはじめ、共同研究先の先生方や同研究室の皆様に感謝申し上げます。学生という立場でありながら素晴らしい学会に参加させていただき、多くの先生方から貴重なご意見を拝聴する機会があり大変刺激を受けました。今回の受賞を励みに今後とも研究に精進して参りたいと思います。将来的には私の研究が新規治療法の開発に繋がり、患者様へ届くことを願いながら研究を進めたいと考えております。

発表題目

フックス角膜内皮ジストロフィモデルマウスの作製とトランスクリプトーム解析

受賞者

上田 瑞希（生命医科学研究科・医工学・医情報学専攻・博士課程（前期課程）1年次生）

連名者

奥村 直毅（生命医科学部 医工学科 教授）
中川 達也（生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 博士課程（前期課程）2年次生）
大山 裕貴（大阪大学 薬学研究科 博士課程（後期課程）2年次生）
千葉 怜（生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 博士課程（前期課程）2年次生）
立石 あやな（生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 博士課程（前期課程）1年次生）
天野 光貴（生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 博士課程（前期課程）1年次生）
泉 あやか（アクチュアライズ株式会社）
伊川 正人（大阪大学 微生物病研究所 教授）
小泉 範子（生命医科学部 医工学科 教授）