'23年6月20日 更新
高橋美帆助教(生命医科学部 医生命システム学科 助教)、西川喜代孝(生命医科学部 医生命システム学科 教授)、出口敦子(東京女子医科大学 学部 理学教室 教授)、丸義朗(東京女子医科大学 医学部 薬理学教室 教授(学長))らの研究成果がCancer Gene Therapy 誌に掲載されました。
腫瘍組織では、がん細胞周辺に免疫細胞などが集まって炎症が惹起されており、がん細胞の増殖に適した特有の微小環境が形成されています。一方で、がんの転移先臓器でも、転移に先立って同様の微小環境がつくられており、がんの転移を促進していることが示されています。
S100A8と呼ばれるタンパクはがん微小環境の形成に深く関与する分子で、がん細胞に存在するToll様受容体4(TLR4)を受容体として作用を発揮します。
本研究グループは、TLR4が2量体を形成して機能することに着目し、TLR4 2量体と2分子のS100A8との強い結合を効率よく阻害する化合物を探索し、2価型ペプチドの構造を持つ化合物、di-pep3A5を開発しました。di-pep3A5はマウス皮下に移植した大腸がん細胞の増殖を効率よく阻害すること、また肺への転移も抑制すること、を見出しました。
さらにdi-pep3A5の構造を基に、必要最低限まで構造を簡素化したペプチド分子、di-ILVIKを開発し、本分子も同様の強い抗がん活性を示すことを見出しました。これら一連のペプチドはS100A8とTLR4の結合を阻害することで、がんの進展・転移を強く抑制する新しいタイプのがん治療薬となることが期待されます。
研究内容の詳細は以下の関連情報をご覧ください。
*corresponding author
腫瘍組織では、がん細胞周辺に免疫細胞などが集まって炎症が惹起されており、がん細胞の増殖に適した特有の微小環境が形成されています。一方で、がんの転移先臓器でも、転移に先立って同様の微小環境がつくられており、がんの転移を促進していることが示されています。
S100A8と呼ばれるタンパクはがん微小環境の形成に深く関与する分子で、がん細胞に存在するToll様受容体4(TLR4)を受容体として作用を発揮します。
本研究グループは、TLR4が2量体を形成して機能することに着目し、TLR4 2量体と2分子のS100A8との強い結合を効率よく阻害する化合物を探索し、2価型ペプチドの構造を持つ化合物、di-pep3A5を開発しました。di-pep3A5はマウス皮下に移植した大腸がん細胞の増殖を効率よく阻害すること、また肺への転移も抑制すること、を見出しました。
さらにdi-pep3A5の構造を基に、必要最低限まで構造を簡素化したペプチド分子、di-ILVIKを開発し、本分子も同様の強い抗がん活性を示すことを見出しました。これら一連のペプチドはS100A8とTLR4の結合を阻害することで、がんの進展・転移を強く抑制する新しいタイプのがん治療薬となることが期待されます。
研究内容の詳細は以下の関連情報をご覧ください。
論文タイトル
Novel multivalent S100A8 inhibitory peptides attenuate tumor progression and metastasis by inhibiting the TLR4-dependent pathway.著者
Atsuko Deguchi(*), Miho Watanabe-Takahashi, Taishi Mishima, Tsutomu Omori, Umeharu Ohto, Nobuto Arashiki, Fumio Nakamura, Kiyotaka Nishikawa(*) and Yoshiro Maru(*)*corresponding author
雑誌
Cancer Gene Therapy 2023 Mar 17;1-12.関連情報
DOI: doi: 10.1038/s41417-023-00604-3. -外部サイト-
高橋美帆助教(生命医科学部 医生命システム学科 助教)、西川喜代孝(生命医科学部 医生命システム学科 教授)、出口敦子(東京女子医科大学 学部 理学教室 教授)、丸義朗(東京女子医科大学 医学部 薬理学教室 教授(学長))らの研究成果がCancer Gene Therapy 誌に掲載されました。
腫瘍組織では、がん細胞周辺に免疫細胞などが集まって炎症が惹起されており、がん細胞の増殖に適した特有の微小環境が形成されています。一方で、がんの転移先臓器でも、転移に先立って同様の微小環境がつくられており、がんの転移を促進していることが示されています。
S100A8と呼ばれるタンパクはがん微小環境の形成に深く関与する分子で、がん細胞に存在するToll様受容体4(TLR4)を受容体として作用を発揮します。
本研究グループは、TLR4が2量体を形成して機能することに着目し、TLR4 2量体と2分子のS100A8との強い結合を効率よく阻害する化合物を探索し、2価型ペプチドの構造を持つ化合物、di-pep3A5を開発しました。di-pep3A5はマウス皮下に移植した大腸がん細胞の増殖を効率よく阻害すること、また肺への転移も抑制すること、を見出しました。
さらにdi-pep3A5の構造を基に、必要最低限まで構造を簡素化したペプチド分子、di-ILVIKを開発し、本分子も同様の強い抗がん活性を示すことを見出しました。これら一連のペプチドはS100A8とTLR4の結合を阻害することで、がんの進展・転移を強く抑制する新しいタイプのがん治療薬となることが期待されます。
研究内容の詳細は以下の関連情報をご覧ください。
*corresponding author
腫瘍組織では、がん細胞周辺に免疫細胞などが集まって炎症が惹起されており、がん細胞の増殖に適した特有の微小環境が形成されています。一方で、がんの転移先臓器でも、転移に先立って同様の微小環境がつくられており、がんの転移を促進していることが示されています。
S100A8と呼ばれるタンパクはがん微小環境の形成に深く関与する分子で、がん細胞に存在するToll様受容体4(TLR4)を受容体として作用を発揮します。
本研究グループは、TLR4が2量体を形成して機能することに着目し、TLR4 2量体と2分子のS100A8との強い結合を効率よく阻害する化合物を探索し、2価型ペプチドの構造を持つ化合物、di-pep3A5を開発しました。di-pep3A5はマウス皮下に移植した大腸がん細胞の増殖を効率よく阻害すること、また肺への転移も抑制すること、を見出しました。
さらにdi-pep3A5の構造を基に、必要最低限まで構造を簡素化したペプチド分子、di-ILVIKを開発し、本分子も同様の強い抗がん活性を示すことを見出しました。これら一連のペプチドはS100A8とTLR4の結合を阻害することで、がんの進展・転移を強く抑制する新しいタイプのがん治療薬となることが期待されます。
研究内容の詳細は以下の関連情報をご覧ください。
論文タイトル
Novel multivalent S100A8 inhibitory peptides attenuate tumor progression and metastasis by inhibiting the TLR4-dependent pathway.著者
Atsuko Deguchi(*), Miho Watanabe-Takahashi, Taishi Mishima, Tsutomu Omori, Umeharu Ohto, Nobuto Arashiki, Fumio Nakamura, Kiyotaka Nishikawa(*) and Yoshiro Maru(*)*corresponding author